着氷

着氷とは

着氷（ちゃくひょう）とは、氷点下の環境下で水滴が物体に付着し凍結するか、大気中の水蒸気が物体に昇華して氷を形成する現象を指します。この現象は、日常生活や産業活動に多大な影響を及ぼすことがあり、特に冬季には注意が必要です。

着氷の条件

着氷は主に気温0℃から-10℃の範囲で発生することが多いですが、温度が-40℃に達するような極端な低温でも見られることがあります。着氷の特性は、気温や風速、雲の粒子の状態、物体の大きさや形状、さらには物体表面の粗さや材質によって大きく異なります。例えば、低温かつ風速が小さい場合、氷は霧状の粒子として形成される一方、風速が高くなると内部に気泡を含む粗氷になります。気温が0℃付近で雲水量が多いときには、雨氷と呼ばれるタイプの氷が生成されることもあります。

着氷の分類

着氷にはさまざまな分類があり、日本の気象観測の基準や文献によって用語の呼び名や定義に違いがあります。以下は主要な着氷の種類です。

• - 霧氷（rime）: 樹氷や粗氷、樹霜を含む層状の氷。
• - 樹氷（soft rime）: 過冷却の霧や雲の粒子が物体に付着し凍ったもので、白色のもろい氷。
• - 粗氷（hard rime）: 樹氷よりも硬く、透明に近い氷。
• - 樹霜（hoarfrost）: 空気中の水蒸気が昇華して形成された氷結晶。
• - 雨氷（glaze）: 過冷却雨が付着し凍った透明な層状の氷。

なお、国際的な文献でもそれぞれの用語が使われており、特に航空機の着氷に関しては別途の基準が設けられています。

着氷の影響

着氷は生活や産業活動に様々な影響をもたらします。以下はその具体的な例です。

電線への着氷

電線に着氷が発生すると、断線や鉄塔の倒壊を引き起こし、結果的に停電が発生することがあります。また、湿った着雪と同様に、着氷した電線は風により激しい振動を生じることがあります。特に北アメリカ地域では、雨氷の頻度が高く、そのための規格が定められています。日本でも、着氷の危険が予想される場合は「着氷注意報」が発令されます。

航空機の着氷

航空機においても、高度における過冷却の水滴や雨により着氷が生じることがあります。特に、航空機の翼やエンジン部分に着氷があると、その飛行特性に大きな影響を及ぼし、最悪の場合事故につながることがあるため、除氷や防氷のための対策が取られています。

船体着氷

寒冷な海域を航行する船舶では、波飛沫や海水が船体に付着し凍結することが多く、これにより船の重心が高くなり翻覆のリスクが増します。海上では「海上着氷警報」が発令されることもあり、特に着氷が発生すると、作業が危険になるため、特殊なコーティングや加温技術が導入されることもあります。

最後に

着氷はその発生条件や形態が多様であり、季節や気象条件によって異なる現れ方をします。これにより、私たちの生活や産業は影響を受けるため、早期の注意喚起と適切な対策が求められます。特に、交通機関や電力網における着氷のリスクを軽視することはできません。この現象を正しく理解し、必要な対策を講じることが重要です。

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