瞼の中に故里が

「瞼の中に故里が」

概要

日本を代表する歌手、三橋美智也氏によって歌われたシングルレコード、「瞼の中に故里が」（まぶたのなかにふるさとが）は、1978年3月に世に送り出されました。この年は、三橋氏が歌手としてのキャリアを歩み始めてから記念すべき25年目にあたる節目の年でした。本楽曲は、単なるシングルとしてだけでなく、同じ年に発表されたアルバム『三橋美智也の世界』にも重要な楽曲として収録されています。

リリース当時の背景と楽曲の重要性

1978年は、三橋美智也氏が四半世紀にわたり日本の歌謡界を牽引してきた大きな区切りとなる年でした。その長きにわたる功績を記念するかのようにリリースされた本楽曲は、当時の三橋氏の代表曲の一つとして位置づけられます。シングル盤として発表され、広くリスナーに届けられただけでなく、彼の世界観を集約した同年のアルバムにも収録されたことから、制作者側や三橋氏自身にとっても、この楽曲が持つ意味合いは大きかったと考えられます。故郷への思いをタイトルに冠した本作は、三橋氏の得意とする叙情的な世界観を表現した一曲と言えるでしょう。

NHK「のど自慢日本一大会」でのパフォーマンス

この楽曲が発表された直後の1978年3月21日には、特別な舞台での披露機会がありました。それは、日本の国民的番組として長く親しまれているNHKの『のど自慢日本一大会』です。この日、三橋美智也氏は、日本の歌謡界を彩る錚々たる顔ぶれと共に番組に出演しました。具体的には、北島三郎氏、都はるみ氏、新沼謙治氏、岩崎宏美氏といった、世代を超えて支持される名歌手たちと同じステージに立ったのです。番組内で行われた「歌手パレード」という形式の中で、「瞼の中に故里が」は披露されました。全国に生中継される場で歌われたことは、楽曲の存在を多くの人々に印象づけ、その普及に大きく貢献したと考えられます。

収録曲詳細

このシングルレコードには、二つの楽曲が収められています。一つはA面曲である「瞼の中に故里が」、もう一つはB面曲として「花恋し人恋し親恋し」が収録されています。それぞれの楽曲の制作に関わった主要なクリエイターは以下の通りです。

A面：瞼の中に故里が
作詞を担当したのは、数々の名曲を手がけた矢野亮氏です。故郷への慕情を切々と歌い上げる詞は、多くの日本人の心を捉えました。
作曲は、歌謡曲の世界で多くのヒット曲を生み出している徳久広司氏が手掛けました。三橋氏の歌声に合う、情感豊かな旋律を生み出しています。
編曲は、楽曲に豊かな広がりと深みを与える高田弘氏が担当しました。三橋氏の表現力を引き出すアレンジが施されています。

B面：花恋し人恋し親恋し
作詞は、歌舞伎や演劇の世界でも活躍した藤間哲郎氏が担当しました。独特の言葉選びとリズム感が光る歌詞となっています。
作曲は、こちらも日本の歌謡界を代表する作曲家の一人、弦哲也氏が手掛けました。親しみやすくも哀愁を帯びたメロディーが印象的です。
編曲は、川上英一氏が担当しています。B面曲ながらも、しっかりとした構成と演奏で楽曲の世界観を構築しています。

結び

「瞼の中に故里が」は、三橋美智也氏の歌手生活25周年を飾るにふさわしい、情感豊かなシングル曲です。同年にはアルバムにも収録され、NHK「のど自慢日本一大会」という国民的な番組でのパフォーマンスを通じて、その存在は多くの人々に知れ渡りました。故郷への思い、あるいは大切な人への慕情といった普遍的なテーマを歌い上げ、今なお多くの人々に親しまれている楽曲と言えるでしょう。カップリング曲「花恋し人恋し親恋し」と共に、日本の歌謡史において重要な位置を占める一枚となっています。

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