矢作俊彦

矢作俊彦 - 日本の小説家

矢作俊彦（やはぎ としひこ、1950年7月18日生まれ）は、日本の小説家であり、多様なジャンルでその才能を発揮してきた実力派です。本名は公表されていませんが、彼の仕事は日本の文壇で広く評価されています。

来歴・人物

矢作は神奈川県横浜市に生まれました。東京教育大学附属駒場高等学校を4年かけて卒業後、17歳の時にダディ・グースとして漫画家デビューを果たします。この時期、漫画雑誌『コミックサンデー』での活躍を皮切りに、『週刊漫画アクション』などの媒体で独自のスタイルの作品を発表していました。しかし、しばらく活動を休止することになります。

彼が高校生だった頃は、学生運動が活発に行われており、矢作自身もその波に影響を受けています。同じく、大学受験を予定していた彼は、1969年の東大の入試中止を受けて他大学への受験を断念することになります。

映画監督を目指していた矢作は、伯父の助けを借りて大映の京都撮影所に勤務するも、勝新太郎の不興を買い早期に退職。その後東京に戻り、シナリオを執筆するも、やがて彼の作品はト書きよりも地の文章が長くなる傾向があり、編集者から「これは小説だ」との指摘を受けます。1972年には短編小説『抱きしめたい』が『ミステリマガジン』に掲載され、正式に小説家デビューを果たしました。

活動の幅を広げる

1970年代を通じて、短編小説や漫画、ラジオ、TVドラマの構成作家としても名を馳せます。特に、長編朗読劇『あいつ』『マンハッタン・オプ』では非常に高い評価を得ました。1977年に発表した長編小説『マイク・ハマーへ伝言』では、新しいスタイルのハードボイルド小説を確立し、その後も1980年には大友克洋との共作『気分はもう戦争』に取り組みました。

1980年代には、ハードボイルドや冒険ものなど、さまざまなジャンルの作品を次々と発表し、さらに谷口ジローとの共作漫画やトーク番組の司会など、多方面で活躍しました。

映画への進出

1990年代には小説だけでなく、映画にも進出し、日活アクションをテーマにした作品や、自身が監督した映画では『神様のピンチヒッター』『ザ・ギャンブラー』などが評価されます。また、社会回帰や個人の歴史を描いた作品も多く、1990年には『スズキさんの休息と遍歴』がNHKでドラマ化されました。この作品は、元学生運動の活動家をモデルにしており、現代日本の問題を描く決定的な作品となりました。

主な受賞歴と著書

矢作の作品は数多くの賞を受賞しています。1982年には『気分はもう戦争』で星雲賞コミック部門を受賞、さらに1998年の『あ・じゃ・ぱん』ではBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞しました。彼の著作には、代表的なものに『マイク・ハマーへ伝言』や『あ・じゃ・ぱん』、『ららら科學の子』などがあります。

彼の独特の文体と構成力は、ハードボイルド作品やパロディ作品の中で光ります。最近の作品には、詩人堀口大學の青春を描いた『悲劇週間』や映画100年を記念して書かれた『フィルムノワール/黒色影片』があり、引き続き多岐にわたり活動を行っています。

矢作俊彦は、創作活動の中でさまざまなテーマを掘り下げ、常に新しい表現を模索し続ける作家です。彼の作品は、日本文学に新たな風を吹き込むものとして、今後も注目されています。

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