矢野健太郎 (漫画家)

矢野健太郎：多様な才能と時代を先取りした漫画家

矢野健太郎氏は、1957年生まれの日本の漫画家です。少年時代から漫画に親しみ、大阪芸術大学在学中には漫画アニメーション研究会グループ「CAS」を設立し初代会長を務めるなど、創作活動に情熱を傾けてきました。

東京都出身ですが、大阪府立島上高等学校卒業後は大阪芸術大学に進学します。大学ではデザイン学科に在籍していましたが、4年次に中退しています。

矢野氏のペンネームは、学生時代の恩師から名付けられたものです。同姓同名の数学者から由来しており、当初は漢字表記が異なっていましたが、デビュー作『強化戦士アームピット』（1981年）の誤植をそのまま採用したことで、現在の表記となりました。

彼の作品は多岐に渡ります。『ネコじゃないモン!』のようなドタバタラブコメから、ダークホラーまで、幅広いジャンルを網羅しています。その作風は独特であり、読者に強烈な印象を与えます。

矢野氏は、早くからゲームやインターネットに着目していました。パソコンゲーム雑誌『テクノポリス』でゲーム紹介漫画『ゲームジョッキー』を連載するなど、8ビットパソコン全盛期からゲーム文化と関わりを持っています。特に注目すべきは、『ホビーズジャンプ』で連載された『ネットワーク戦士（ウォリアー）』（1986年～1988年）です。これはインターネット普及以前、300bpsの音響カプラによるパソコン通信が主流であった時代に、「オンラインゲームの世界にプレイヤーが取り込まれる」という、先進的なテーマを描いた作品でした。この作品は、現代のオンラインゲームブームを予見していたかのようにも感じられます。

島本和彦氏の漫画『アオイホノオ』には、矢野氏の大学時代のエピソードが紹介されており、ドラマ化された際には俳優の浦井健治氏が演じています。

作品リストには、『ArbeZ（アーヴェ・ズィー）』『インジュカーシス』『オマージュ』『鬼狩獣（ハンティング・ビースト）』『コットンプレイ』『シーラント』『邪神伝説シリーズ』など、多数の作品が挙げられます。「クトゥルー神話」をモチーフとした作品も手掛けています。また、『ネコじゃないモン!』以外にも、『ネットワーク戦士（ウォリアー）』『トップをねらえ! NEXT GENERATION 〜発進戦艦アレクシオン編〜』『4Spiritsプラス2』『プレハブラプソディ』など、様々なジャンルの作品を発表しています。

矢野氏の才能は多様であり、彼の作品はそれぞれのジャンルにおいて独自の地位を確立しています。初期作品から最新作まで、一貫して高い創造性を維持し続け、漫画界に大きな貢献を果たしていると言えるでしょう。

アシスタントには、成人向け漫画家の毛野楊太郎氏がいます。毛野氏の絵柄は矢野氏に酷似しており、話題となっています。

現在も自転車を愛好しており、多方面に渡る活動は、矢野健太郎氏の旺盛な創作意欲の表れと言えるでしょう。彼の今後の作品にも期待が高まります。

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