知多蒸溜所

知多蒸溜所：日本を代表するグレーンウイスキーの生産拠点

愛知県知多市に位置する知多蒸溜所は、日本最大規模を誇るグレーンウイスキー蒸留所として知られています。サントリーとJA(全国農業協同組合中央会)の共同出資により1972年に設立された株式会社サングレイン(現・サントリー知多蒸溜所株式会社)が運営しています。年間5400万リットルもの生産能力を有し、その原酒は響や角瓶といったサントリーを代表するブレンデッドウイスキーの重要な構成要素となっています。2015年には、知多蒸溜所産のグレーンウイスキーのみを使用したシングルグレーンウイスキー「知多」を発売し、高い評価を得ています。

知多蒸溜所の歴史：成長と進化の軌跡

1973年の蒸留所竣工以来、知多蒸溜所は日本のウイスキー需要の高まりを背景に、順調に生産量を増やしてきました。1977年には第2プラントを増設、1980年には年間生産量4000万リットルを達成するなど、その成長は目覚ましいものがありました。その後も、グレーンウイスキーに加え、スピリッツや原料用アルコールの生産も開始。2008年には累計生産量が10億リットルを突破するなど、日本のウイスキー業界に大きく貢献してきました。2022年には、原料の風味を活かすことができるカフェ式連続蒸留器を導入し、更なる品質向上を目指しています。

知多蒸留所の製造工程：こだわりの技術と設備

知多蒸溜所のグレーンウイスキー製造は、厳選された原料と高度な技術によって支えられています。主原料はアメリカ産のイエローデントコーンとフィンランド産を中心とした大麦麦芽。隣接するJA所有のサイロからベルトコンベアで直接搬入される原料は、最新の設備で効率的に処理されます。仕込み水には、硬度18mg/Lの木曽川を水源とする愛知用水を使用。この軟水は、ウイスキーの繊細な風味を引き出す上で重要な役割を果たしています。

製麦・仕込み・発酵: イエローデントコーンと大麦麦芽を原料に、最新のハンマーミルとクッカーを用いて糖化、発酵が行われます。ステンレス製のファーメンターで50～85時間かけて発酵された麦汁は、その後蒸留工程へと進みます。

蒸留: 知多蒸溜所では、多塔式連続蒸留器とカフェ式連続蒸留器の2種類の蒸留器を使用しています。多塔式蒸留器では、4つの蒸留塔を使い分けることで、ヘビー、ミディアム、クリーンの3種類の原酒を造り分けています。それぞれの原酒は、穀物香、スパイシーさ、甘みなど、異なる特徴を持っています。2022年に導入されたカフェ式連続蒸留器は、原料の風味を最大限に引き出すことで、多様な原酒の生産を可能にしています。

熟成: 知多蒸溜所には熟成庫がないため、ニューメイクは山崎蒸溜所、白州蒸溜所、近江エージングセラーで熟成されます。バーボン樽が中心ですが、スパニッシュオーク樽やワイン樽なども使用することで、原酒の個性を際立たせています。

知多蒸溜所の製品：シングルグレーンウイスキー「知多」

長年、サントリーのブレンデッドウイスキーの原酒として貢献してきた知多蒸溜所ですが、2015年にシングルグレーンウイスキー「知多」を発売しました。これは、知多蒸溜所産のグレーンウイスキー100%で造られた、軽やかな味わいとほのかな甘さが特長のウイスキーです。「風香るハイボール」というキャッチコピーで親しまれ、サントリーの定番ブランドとして人気を博しています。

知多蒸溜所の受賞歴

知多蒸溜所が生産するウイスキーは、国内外の品評会で高い評価を受けています。インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ（ISC）や東京ウイスキー＆スピリッツコンペティション（TWSC）で金賞や銀賞を受賞するなど、その品質の高さが認められています。

知多蒸溜所の未来

知多蒸溜所は、これからも日本のウイスキー文化を支える存在として、革新的な技術と伝統的な技を融合させ、高品質なウイスキー造りに挑戦し続けていくことでしょう。その取り組みは、世界中のウイスキー愛好家から注目を集め続けること間違いありません。

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