短二十糎砲

短二十糎砲（たんにじゅうせんちほう）

短二十糎砲は、日本海軍が第二次世界大戦中に開発した高角砲であり、商船や特設艦船の自衛用に設計されました。この砲の特筆すべき点は、高い角度での射撃が可能で、対空攻撃も行えるという点です。しかし、その実際の運用目的は、主に対潜攻撃に重点が置かれていました。すなわち、対潜・対水上・対空の三つの役割を兼ね備えた榴弾砲に近い特性を持っていました。

構造的特徴

短二十糎砲には、上方に駐退機が1つ存在し、砲身の下部には短い円筒形の装置が見受けられます。これは復座機である可能性があります。砲の閉鎖機は右開きの螺旋式で、発射時には砲身の仰角を約10度に設定する必要があります。この設計により、初速は310m/sと比較的低く、最大射程は6,500m、最大射高は3,500mという制約があります。発射速度も3発/分と限定されており、対空戦闘においては不足が生じるでしょう。

運用と配備

短二十糎砲は、主にTL型戦時標準船に搭載されることが多く、また沿岸砲としてもグアムなどの陸上で運用されました。しかし、実際の運用が大戦末期に近づくに連れて、輸送船の数が減少していったため、陸上の固定陣地に設置する以外の使い道はほぼ無くなりました。陸上の固定式砲としてすら、射程や射高が短く、移動ができない点から、有効な対空戦闘や上陸戦に対応する能力が低いという評価がされていました。

製造数

この砲は、呉海軍工廠で開発と製造が行われました。短十二糎砲と共に、昭和18年から昭和20年にかけて合計500門が製造されたという記録があります。具体的には、昭和18年に230門、昭和19年に同数、昭和20年には40門が生産されました。

自走砲の計画

さらに、昭和20年8月には本砲を九七式中戦車の車体に搭載して自走砲化する計画があったとされています。詳細は不明な点が多いものの、第1陸軍技術研究所と大阪陸軍造兵廠が開発に関与していました。終戦時には進捗率が20%以上だった半完成の2門が、同造兵廠の第一製造所に残っていたとのことです。

性能要目

短二十糎砲の性能は以下の通りです：

• - 口径: 202mm
• - 砲身長: 約2.4m
• - 初速: 310m/s
• - 最大射程: 6,500m
• - 最大射高: 3,500m
• - 発射速度: 3発/分
• - 俯仰角: -15度から+65度
• - 旋回角: 全周
• - 重量: 3.75トン（砲身重量630kg含む）

このように、短二十糎砲は高角砲の特性を持ちながらも、実戦における適応性や効果には限界があったとされています。

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