短十二糎自走砲

短十二糎自走砲（たんじゅうにせんちじそうほう）

短十二糎自走砲は、1945年に日本海軍によって開発された装備で、同年の第二次世界大戦末期における戦闘能力の向上を目指した自走砲です。海軍内では十二糎砲戦車と呼ばれ、特に海軍の陸戦部隊に配備されました。主に佐世保や横須賀の第十六特別陸戦隊で運用され、佐世保には4両、横須賀には10両が存在したことが確認されています。

構造

この自走砲は、日本陸軍が開発した九七式中戦車を基に改造されており、車体はほぼそのままであると考えられています。米海兵隊によって撮影された画像からは、後期型の車体が使用されていた可能性が示唆されています。砲塔には47mm砲搭載型のものを改造して用いており、戦闘時には7.7mm機銃が撤去されていたことが報告されています。

車体の前方にはエンジンが搭載され、12気筒星形エンジンを使用していると推測されています。最大速度は約60km/hとされていますが、その足回りは九七式中戦車と同様の構造を持っています。前方の転輪は鋼製であり、薄い金属板のフェンダーにより保護されています。

原型砲

自走砲に搭載される火砲は、日本海軍が開発した短十二糎砲を改装したもので、当初は艦載用として作成されました。口径120mm、砲身長1510mmとかなりの規模を誇り、特に対空用としても運用可能です。この火砲は、砲弾と薬莢が分離できる半固定式の設計となっており、最大射程はおおよそ5300mとされています。

乗員配置と運用

乗員の詳細は不明ですが、砲長、砲手、装填手が配置されていると考えられています。特に砲手が砲塔左側、装填手が右側に位置し、運転席は右側にあります。運用に際しては、横須賀第十六特別陸戦隊で本土決戦に備えた海軍の陸戦部隊として配備され、実際に戦闘に使用されることはありませんでしたが、滑走路を塞ぐために配備されたことが記録されています。

派生型と登場作品

短十二糎自走砲は、1945年に日本陸軍が計画した短二十糎砲の自走砲化の基盤ともなりました。また、この戦車は現代のコンピュータゲームにも登場しており、『War Thunder』では「Chi-ha Short Gun」として知られ、『バトルフィールドV』では九七式中戦車が本車を模した改装を施すことができます。

まとめ

短十二糎自走砲は、短期間の間に製作されたにもかかわらず、その設計や実戦における戦略的意義は現在でも注目されています。日本海軍の兵器の中でも、特に独自の進化を遂げたこの自走砲は、当時の技術と戦略の一端を示す存在となっています。

もう一度検索