矮小銀河

矮小銀河（わいしょうぎんが、Dwarf Galaxy）

定義と規模

矮小銀河は、宇宙に存在する銀河の中でも特に恒星の数が少ない、比較的小さな天体です。一般的に、含まれる恒星の数は数十億個以下とされています。私たちの天の川銀河には数千億個もの恒星が存在することを考えると、矮小銀河はその規模において100分の1以下という著しい違いがあります。その小ささゆえに、特に星の少ない矮小楕円銀河の中には、個々の恒星の集まりである球状星団と見分けるのが困難なケースも存在します。ただし、恒星が300億個以上含まれる天の川銀河の伴銀河である大マゼラン雲のように、文脈によっては比較的大きな銀河が矮小銀河に分類されることもあります。

分布と存在場所

矮小銀河は、宇宙に広く分布していると考えられていますが、特に局所銀河群と呼ばれる私たちを含む銀河の集まりには、多くの矮小銀河が発見されています。これらの小さな銀河の多くは、天の川銀河や、お隣のアンドロメダ銀河（M31）、さんかく座銀河（M33）といった、より質量が大きく明るい銀河の重力によって引きつけられ、その周囲を軌道運動していることが観測から分かっています。例えば、私たちの天の川銀河のすぐ近くを回っている12個以上の矮小銀河がこれまでに確認されています。

矮小銀河は、恒星の数が少ないため非常に暗く、観測が困難です。そのため、比較的近距離にある局所銀河群に属するものを除けば、その存在はごく一部しか知られていません。しかし、理論的な予測やシミュレーションからは、宇宙全体には膨大な数の矮小銀河が存在しており、その多くが巨大な銀河の周りを衛星のように巡っていると推測されています。

主な特徴

矮小銀河の構成要素には、いくつかの特徴が見られます。顕著な点の一つは、星間物質（ガスや塵）が非常に少ないということです。また、含まれる恒星は、金属量が少なく古くに誕生した種族IIと呼ばれる星が中心であることが多いです。

なぜ矮小銀河には星間物質が少ないのでしょうか。これには、その小さな質量と弱い重力が関係していると考えられています。銀河が誕生する初期には、活発な星形成活動（スターバースト）が起こり、大量の星が短期間に誕生したと考えられています。この際に放出されたエネルギーによって星間物質が加熱され、矮小銀河の弱い重力ではそれらを内部に留めておくことができず、容易に銀河の外へと散逸してしまったためだと推測されています。

分類

矮小銀河は、その形態や特徴に基づいていくつかのタイプに分類されます。

主な分類としては以下の3つがあります。

矮小楕円銀河（dE）: 滑らかで特徴の少ない楕円形または球形をしています。
矮小不規則銀河（dIrr）: 明確な形を持たない、不規則な外観をしています。
* 青色コンパクト銀河（BCD）: 明るくコンパクトな外観で、活発な星形成領域を持つため青みがかって見えます。

これら主要な3タイプ以外にも、特に暗く見つけにくい矮小楕円体銀河（dSph）や、円盤構造が見られる矮小S0銀河（dS0）といった分類が存在します。特にdSphは、大型銀河の周囲で非常に多数見つかっており、ダークマター研究などでも注目されています。

矮小銀河は、宇宙の構造形成の最小単位と考えられており、大型銀河の形成過程や進化を理解する上で重要な手がかりを与えてくれる天体です。

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