アンドロメダ銀河

アンドロメダ銀河：宇宙の隣人

アンドロメダ銀河（M31、NGC 224）は、アンドロメダ座に位置する、地球から肉眼で見える最も遠い天体の一つです。約250万光年の距離にあり、天の川銀河、さんかく座銀河などとともに局所銀河群を構成しています。

概要

アンドロメダ銀河は、約1兆個の恒星からなる巨大な渦巻[[銀河]]で、直径は約22万光年と、天の川銀河（直径約10万光年）よりもはるかに大きく、局所銀河群で最大の銀河です。以前は直径が13万光年程度とされていましたが、観測技術の進歩により、銀河ハローの一部と思われていた領域が実はディスクの一部であることが判明し、そのサイズが見直されました。

銀河が星雲と混同されていた時代には、「アンドロメダ星雲」や「アンドロメダ大星雲」とも呼ばれていました。初期の距離測定では約90万光年とされていましたが、測定方法の改善により約200万光年と推定され、その後も観測精度の向上に伴い、推定距離は長くなっています。

一見、天の川銀河に似ていると思われがちですが、アンドロメダ銀河は中心核が2つあること、バルジのガスや暗黒物質が少ないこと、ガスが銀河面に直角な渦巻き構造を持つことなどが観測で明らかになっています。形態分類ではSA(s)b型の渦巻[[銀河]]に分類されますが、赤外線観測の結果、棒渦巻[[銀河]]である可能性も示唆されています。

観測

アンドロメダ銀河は肉眼でも確認でき、その大きさは満月の約5倍にもなります。双眼鏡では、長い楕円形の光芒として観察できます。大口径の望遠鏡でも、中心部の明るい領域しか見えないことが多く、渦巻き構造を捉えるには、口径20cm以上の望遠鏡が必要になります。

964年には、アブドゥル・ラフマーン・スーフィーによって「小さな雲」として記述されており、1612年にはドイツの天文学者シモン・マリウスが「角灯を透かして輝くロウソクの光」のように見えたと記録しています。1847年にはウィリアム・クランチ・ボンドが暗黒帯がある詳細なスケッチを残し、1864年にはウィリアム・ハギンズが連続スペクトルを発見しました。1885年にはエルンスト・ハルトヴィッヒが新星や変光星を発見し、1887年にはアイザック・ロバーツが初めて写真を撮影しました。

1923年にエドウィン・ハッブルは、アンドロメダ銀河内のケフェイド変光星を利用して距離を測定し、約90万光年と発表。これにより、アンドロメダ銀河が天の川銀河の外にある天体であることが証明されました。第二次世界大戦中、ウォルター・バーデは観測により銀河中心部の星の分解に成功し、戦後にはアンドロメダ銀河を構成する星の種族を特定しました。

伴銀河

アンドロメダ銀河には、14の矮小銀河からなる伴銀河が存在します。特にM32とM110はよく知られており、観測も容易です。M110はアンドロメダ銀河と相互作用していると考えられており、伴銀河から剥ぎ取られたと思われる金属量の多い恒星ストリームも発見されています。また、M110には、近年または現在も星形成が行われていることを示す塵の多い筋状の構造があります。2006年には、9つの伴銀河がアンドロメダ銀河の中心核と交差する平面上に並んでいることが確認され、個々の相互作用によるものと予測されています。

球状星団G1

アンドロメダ銀河の周囲には多くの星団が観測され、最大のものは球状星団G1（メイオールII）です。アンドロメダ銀河の中心から約13万光年の距離に位置し、数十万個以上の古い星が集まって構成されています。局所銀河群の中で最も明るい球状星団であり、地球から見た見かけの等級は13等級です。ハッブル[[宇宙望遠鏡]]による観測では、G1の中心に太陽の約2万倍の質量を持つブラックホールが存在する可能性が示唆されています。

銀河系との衝突

アンドロメダ銀河は天の川銀河に対し、秒速約122kmで接近しており、太陽系から見ると秒速約300kmで接近しています。約40億年後には天の川銀河と衝突し、それから約20億年かけて巨大な楕円銀河「ミルコメダ」を形成するか、巨大な円盤銀河を形成すると予測されています。このような銀河の衝突は局所銀河群ではよく起こっていますが、この衝突が地球と太陽系にどのような影響を与えるかはまだ不明です。衝突前に太陽系がアンドロメダ銀河に組み込まれる可能性もわずかにあります。

フィクション

アンドロメダ銀河は、地球に近い銀河として多くのSF作品に登場し、異星人の故郷や宇宙旅行の目的地として描かれています。

アンドロメダ銀河は、私たちの宇宙における隣人として、常に観測と研究の対象となっています。その壮大さと、将来の銀河系との衝突というドラマチックな運命は、多くの人々の関心を引きつけています。

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