石井夏海

石井夏海（いしい なつみ）は、天明3年（1783年）に生まれ、嘉永元年6月13日（1848年7月13日）に没した江戸時代の佐渡国出身の人物です。本姓は平氏で、静蔵と通称し、石斎、夏海、安瀾堂といった号を用いていました。

相川で生まれた石井夏海は、幼少の頃から下地細工絵に親しみ、成長すると紀南嶺や谷文晁に絵画を学びました。さらに、司馬江漢から測量術、天文学、西洋油絵といった当時の最先端技術や知識を習得したと伝えられています。文化年間の末には、耕地絵図取調の公命を受け、文政の頃には地方付絵図師として活躍しました。

天保6年（1835年）には、伊能忠敬が測量した地図の校正という重要な事業に携わり、その2年後には大小八図からなる佐渡の地図を完成させました。この地図は、当時の佐渡の地理を知る上で貴重な資料となっています。

石井夏海は、佐渡と江戸の間を頻繁に往復し、曲亭馬琴、式亭三馬、近藤守重といった著名な文化人たちと交流を深めました。また、北川真顔の門下に入り狂歌を嗜み、判者としても活動しました。文筆活動も行っており、『小萬畠雙生種蒔』という佐渡の伝承を基にした合巻を執筆しましたが、広告文のみが出され、未刊に終わりました。

66歳で亡くなった石井夏海の才能は多岐にわたり、佐渡の文化発展に大きく貢献しました。子に石井文海がいます。

参考文献

萩野由之 『佐渡人物志』 佐渡教育会、1927年
市古貞次ほか編 『国書人名辞典』（第一巻） 岩波書店、1996年

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