石井徹哉

石井徹哉（いしい てつや）は、1961年6月9日生まれの日本の著名な法学者である。専門は刑法であり、特に刑法における責任帰属の原理と構造、ならびに急速に発展する情報ネットワークに関連した刑事法による規制のあり方を主要な研究領域としている。法学者の曽根威彦氏に師事した経歴を持つ。

その学歴は、1985年3月に早稲田大学法学部を卒業することから始まる。さらに法学の探求を深めるため、同大学大学院法学研究科に進み、1993年3月に博士後期課程を単位取得退学している。その後、1993年4月からは日本学術振興会の特別研究員（PD）として研究活動に従事する傍ら、神奈川大学短期大学部や法政大学で講師を務め、教育者としてのキャリアもスタートさせた。

大学教員としての本格的な経歴は、2002年4月に奈良産業大学法学部で助教授に就任したことに始まる。その後、2004年4月には千葉大学法経学部に移籍し、引き続き助教授を務めた。同大学では、2006年12月に法経学部教授へと昇任し、教育・研究活動の中心的な役割を担うようになる。2008年4月からは、千葉大学大学院人文社会科学研究科の教授として、さらに専門的な研究・指導を行った。長年にわたり千葉大学で活躍した後、2024年4月より明治大学に移り、同大学法学部法律学科および大学院法学研究科公法学専攻の教授として、現在に至る。

主な業績として、刑法学の基礎理論から情報化社会特有の法的問題まで、幅広いテーマに関する多数の論文を発表している。例えば、構成要件の実現時期に関する「いわゆる早すぎた構成要件の実現について」（奈良法学会誌）、故意犯の責任論を再検討した「故意責任の再構成」（刑法雑誌）、情報ネットワークに関連する法規制として「不正アクセス禁止法の意義と限界」（千葉大学法学論集）や「Winny事件の刑法上の論点」（同）などがある。また、行為と責任の同時存在原則に関する考察（刑法雑誌）や、インターネットサービスプロバイダの刑事責任に関する研究（千葉大学法学論集）も行っている。さらに、デジタルフォレンジックに関する国際的な書籍にも論文を寄稿するなど、国内外で活動を展開している。

学会活動も精力的に行っており、刑法学会、情報ネットワーク法学会、情報処理学会、情報通信学会、デジタルフォレンジック研究会など、複数の学術団体に所属している。特に情報ネットワーク法学会では副理事長を、デジタルフォレンジック研究会では理事を務めるなど、関連分野の発展に貢献している。国際的な場では、IFIP WG11.9（Digital Forensics）のメンバーとしても活動している。また、企業の研究会、例えばNTTコミュニケーションズ株式会社のインターネット法制度研究会委員を務めるなど、実務的な問題への提言も行っている。

研究活動に関する情報は、researchmapやJ-GLOBAL、科学研究費助成事業データベース（KAKEN）などで確認できるほか、自身のウェブサイト「ベンガルと刑法」でも情報発信を行っている。

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