石井政雄

石井政雄は、1931年（昭和6年）に千葉県で生まれ、2007年（平成19年）に76歳で亡くなった日本の陸上自衛官です。最終階級は陸将で、第20代陸上幕僚長、第17代統合幕僚会議議長を歴任しました。勲二等旭日重光章を受章し、没後、正四位を叙されています。

石井は、松戸の旧家に生まれ、中学3年で終戦を迎えました。そのため、旧軍の陸軍士官学校への進学を断念し、地元の高校から立教大学へ進学しました。大学卒業後は計算機会社に就職しましたが、1年間の研修後、都庁でたまたま目にした保安隊（現在の自衛隊）の幹部候補生募集のポスターを見て入隊を決意しました。

幹部候補生学校を卒業後、石井は普通科教導連隊に配属されました。彼は「普通科こそ軍の主兵だ」という考えを持ち、自衛隊に入隊するなら普通科で活躍することを決めていたと語っています。普通科教導連隊では、小隊長、中隊長代理を歴任し、その後、富士学校で教官を務めました。富士の裾野で8年間過ごした経験は、普通科の幹部として大きな糧になったと述懐しています。

1964年（昭和39年）には、幹部学校のCGS（指揮幕僚課程）を修了し、石川地方連絡部に配属されました。当時、地方連絡部は後方部門とみなされていましたが、募集難によりCGS修了者を地方連絡部に配属するという人事施策がとられ、石井はその第一号となりました。後に栃木地方連絡部長も務めましたが、石川地連での経験が非常に役立ったと語っています。

その後、石井は幹部学校で教官を務め、米国に留学しました。帰国後は栃木地連部長、第30普通科連隊長を経て、陸上幕僚監部防衛課長として53中期業務見積り（53中業）を担当しました。さらに、第11師団長、陸上幕僚副長などの要職を歴任し、1986年（昭和61年）には第20代陸上幕僚長に就任しました。石井は、旧軍の教育を受けていない初の陸幕長でした。

統合幕僚会議議長在職中は、日本版DIA（国防情報局）である情報本部構想の推進に尽力し、1997年（平成9年）1月に情報本部が設立されました。また、第11師団長であった1985年（昭和60年）には、真駒内駐屯地内にさっぽろ雪まつり資料館をオープンさせました。

石井政雄の年譜

1954年（昭和29年）4月：陸上自衛隊（当時は保安隊）入隊（第9期一般幹部候補生課程）
1955年（昭和30年）4月：3等陸尉任官
1965年（昭和40年）7月1日：3等陸佐に昇任
1966年（昭和41年）7月16日：陸上幕僚監部第1部勤務
1969年（昭和44年）7月1日：2等陸佐に昇任
1969年（昭和44年）7月16日：陸上自衛隊幹部学校勤務
1971年（昭和46年）6月18日：米国留学（米国陸軍指揮幕僚大学指揮幕僚課程研修）
1972年（昭和47年）7月17日：第9師団司令部第3部長
1974年（昭和49年）7月1日：1等陸佐に昇任
1974年（昭和49年）7月16日：自衛隊栃木地方連絡部長
1976年（昭和51年）8月2日：第30普通科連隊長兼新発田駐とん地司令
1978年（昭和53年）7月1日：陸上幕僚監部防衛部防衛課長
1980年（昭和55年）7月1日：陸将補に昇任、西部方面総監部幕僚副長
1982年（昭和57年）7月1日：統合幕僚会議事務局第5幕僚室長
1983年（昭和58年）7月1日：陸将に昇任
1984年（昭和59年）3月29日：第11師団長
1985年（昭和60年）10月1日：陸上幕僚副長に就任
1986年（昭和61年）3月17日：第20代 陸上幕僚長に就任
1987年（昭和62年）12月11日：第17代 統合幕僚会議議長に就任
1990年（平成02年）3月16日：退官
2002年（平成14年）4月29日：勲二等旭日重光章受章
2007年（平成19年）5月9日：胆管癌のため死去（享年76）。叙・正四位

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