石井昌平

石井 昌平（いしい しょうへい）は、1964年（昭和39年）7月18日に東京都で生まれた日本の運輸・国土交通官僚です。

東京の麻布中学校・高等学校で学び、高校時代には塩路悦朗氏と共に地歴部に所属していました。その後、東京大学法学部を卒業し、1988年（昭和63年）に運輸省（現国土交通省）に入省して、そのキャリアをスタートさせました。

入省後は、海上保安庁や国土交通省で幅広い分野の業務に携わり、様々な重要なポストを歴任しました。具体的には、海上保安庁警備救難部国際刑事課長、国土交通省大臣官房参事官（総合政策局担当）、国土交通省総合政策局公共交通政策部参事官（総合交通担当）などを務めました。また、国土交通省鉄道局幹線鉄道課長として日本の主要な鉄道路線に関する政策に関わり、総合政策局政策課長として省全体の政策立案にも深く関与しました。さらに、海上保安庁総務部政務課長としても組織の運営や渉外業務に貢献しています。

キャリアの中で特に注目されるのが、海上保安庁警備救難部国際刑事課長在任中の取り組みです。当時、ソマリア沖で海賊行為が頻発し、国際的な問題となっていました。石井氏は、この問題への対策として、日本の海上保安官を危険な海域へ派遣することを指揮・推進しました。この任務においては、海上保安庁の部隊が日本の自衛隊と長期間にわたり緊密に連携して行動しましたが、日本の組織として自衛隊と海上保安庁がこれほど長期にわたり連携して活動するのは、この時が初めての事例となりました。石井氏は当時を振り返り、隊員を派遣する前には多くの不安を抱えていたものの、無事任務を終えて帰港した隊員たちを出迎えた際には、感極まって涙が止まらなかったと語っています。

その後も要職を重ね、2017年（平成29年）7月7日には第五管区海上保安本部長に就任し、西日本の主要な海上保安業務を統括しました。続いて2018年（平成30年）7月31日には国土交通省鉄道局次長、2019年（令和元年）7月9日には国土交通省総合政策局次長と、本省の主要局でナンバーツーのポストを歴任しました。そして2020年（令和2年）7月21日には海上保安庁次長に就任し、組織運営の中枢を担うことになります。

長年にわたる経験と実績が評価され、2022年（令和4年）6月28日、日本の海上における安全確保、治安維持、海洋権益の保全といった重要な任務を担う海上保安庁のトップである海上保安庁長官に就任しました。長官として約2年間にわたり組織を率いた後、2024年（令和6年）7月1日をもって海上保安庁長官を退任しました。

もう一度検索