第五管区海上保安本部

第五管区海上保安本部について

第五管区海上保安本部（以下、五管）は、兵庫県神戸市に本部を置く海上保安庁の管区海上保安本部の一つです。近畿地方から四国地方にかけての太平洋沿岸海域を管轄しており、その範囲は兵庫県の一部（日本海沿岸を除く）、大阪府、和歌山県、徳島県、高知県に及びます。この広大な海域の安全を守るため、五管は様々な活動を行っています。

五管の主な特徴

五管の管轄海域には、海の難所として知られる潮岬沖や高知県沖が含まれており、これらの海域を航行する船舶の安全監視は重要な任務です。また、大阪湾は交通量が非常に多い海域であり、大阪港や神戸港といった主要な港湾では、麻薬や拳銃などの密輸を取り締まる活動も行っています。さらに、阪神工業地帯や関西国際空港など、沿岸部における災害の発生に備えた防災活動も重要な役割です。

五管の歴史

五管は、1948年5月1日に海上保安庁の発足とともに神戸海上保安本部として誕生しました。当初は、庶務、燈台の2課と保安部、掃海部の2部で構成されていましたが、組織は時代とともに変化を遂げてきました。1950年には管区制への移行に伴い、第五管区海上保安本部に改称されました。その後、業務内容の拡大や組織改編を経て、現在の体制に至っています。

本部の組織構成の変遷

1948年：神戸海上保安本部として発足。庶務、燈台の2課と保安部、掃海部の2部で構成。
1949年：船舶検査業務移管に伴い検査部を新設。総務、警備救難、保安、掃海補給の4部と水路燈台課で構成。
1950年：第五管区海上保安本部に改称。総務、警備救難、海事検査、水路、燈台、航路啓開の6部で構成。
1952年：経理補給部を新設。海事検査、航路啓開の2部を廃止。
1955年：船舶技術部を新設。
2002年：水路部を海洋情報部に改組。
2003年：燈台部を交通部に改組。
2009年：警備救難部に次長を設置。

海上保安部、海上保安署の変遷

五管の管轄下には、多数の海上保安部や海上保安署が設置されてきました。これらの組織は、設立、昇格、改称、統合などを経て、現在の体制に至っています。特に大阪海上保安部は、大阪海上保安監部への拡充や、その後の組織再編により、管轄海域の安全確保に大きく貢献してきました。

五管の組織

五管は、以下のような組織で構成されています。

第五管区海上保安本部: 神戸市中央区に所在。管内の海上保安業務を統括。
神戸海上保安部: 神戸市中央区に所在。兵庫県南部の海域を管轄。
西宮海上保安署: 西宮市に所在。
姫路海上保安部: 姫路市に所在。兵庫県西部の海域を管轄。
加古川海上保安署: 加古川市に所在。
大阪海上保安監部: 大阪市港区に所在。大阪湾を中心とした海域を管轄。
堺海上保安署: 堺市西区に所在。
岸和田海上保安署: 岸和田市に所在。
和歌山海上保安部: 和歌山市に所在。和歌山県沿岸の海域を管轄。
海南海上保安署: 海南市に所在。
田辺海上保安部: 田辺市に所在。和歌山県南部の海域を管轄。
串本海上保安署: 東牟婁郡串本町に所在。
徳島海上保安部: 小松島市に所在。徳島県沿岸の海域を管轄。
美波分室: 海部郡美波町に所在。
高知海上保安部: 高知市に所在。高知県沿岸の海域を管轄。
宿毛海上保安署: 宿毛市に所在。
土佐清水海上保安署: 土佐清水市に所在。
関西空港海上保安航空基地: 泉佐野市に所在。航空機による監視、救難活動を行う。
大阪湾海上交通センター: 神戸市中央区に所在。船舶交通の安全管理を行う。
下里水路観測所: 東牟婁郡那智勝浦町に所在。水路観測業務を行う。

五管の主な保有船艇・航空機

五管は、管轄海域の広さや任務の多様性に対応するため、多数の巡視船艇や航空機を保有しています。これらの船艇・航空機は、海難救助、犯罪取り締まり、海洋調査など、様々な活動に従事しています。

巡視船・巡視艇

五管には、大型の巡視船から小型の巡視艇まで、多種多様な船艇が配備されています。これらの船艇は、それぞれの特性に応じて、沿岸警備、救難活動、海洋調査など、様々な任務にあたっています。

測量船: うずしお(HS-23)
巡視船: せっつ(PLH-07)、きい(PL-73)、とさ(PL-08)、かつらぎ(PS-109)、みなべ(PM-32)、こうや(PS-12)、よしの(PM-27)
巡視艇: はるなみ(PC-18)、あわぎり(PC-40)、ふどう(PC-55)、きくかぜ(CL-42)、しずかぜ(CL-79)、しらぎく(CL-141)、なだかぜ(CL-03)、まやざくら(CL-06)、ぬのびき(PC-54)、まやかぜ(CL-29)、さぎかぜ(CL-113)、ひめざくら(CL-142)、ひめぎく(CL-176)、みのお(PC-60)、しぎかぜ(CL-22)、あやめ(CL-134)、みおかぜ(CL-137)、こまかぜ(CL-138)、てるぎく(CL-165)、よどぎく(CL-07)、わかづき(PC-121)、きいかぜ(CL-61)、むろづき(PC-102)、むろかぜ(CL-121)、びざん(PS-15)、あしび(CL-126)、うずかぜ(CL-180)、あらせ(PS-09)、さんれい(PS-18)、とさみずき(CL-98)、とさつばき(CL-117)、そらかぜ(CL-131)、さのゆり(CL-176)
監視取締艇: おりおん(SS-51)、すこおぴお(SS-07)、とりとん(SS-44)、ねぷちゆん(SS-53)、あれでばらん(SS-74)
灯台見回り船: こううん(LM-208)

航空機

五管は、固定翼機2機と回転翼機3機を保有しています。これらの航空機は、広範囲な海域での監視活動や、海難救助活動、緊急患者の輸送などに活用されています。

固定翼機: はやぶさ3号(MA953)、はやぶさ4号(MA954)
* 回転翼機: しらさぎ(MH918)、みみずく1号(MH687)、みみずく2号(MH688)

まとめ

第五管区海上保安本部は、近畿・四国地方の広大な海域の安全を守るために、日々活動を続けています。その活動は、海難救助から犯罪取り締まり、災害防除まで多岐にわたり、海上保安庁の中核を担う重要な組織です。五管の歴史を振り返ると、時代の変化とともに組織も変化し、常に進化を続けていることがわかります。これからも、五管は日本の海の安全を守るため、重要な役割を果たしていくでしょう。

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