石井望

石井望（いしい のぞむ）氏は、1966年東京生まれの漢文学者、言語学者です。長崎純心大学人文学部准教授として教鞭を執り、幅広い分野で研究活動を展開しています。専門分野は、尖閣諸島の前史、元曲崑曲音楽、崑曲字音、漢文圏音律、蘇州語、漢字等韻学、長崎唐学、漢文教育、漢文文明論など多岐にわたります。

学歴と職歴

1989年に京都大学文学部中国語学中国文学科を卒業後、1993年に蘇州大学中文系研究院（大学院）を修了しました。その後、2000年に同研究科博士課程を学修退学しています。2001年には長崎総合科学大学の講師に就任し、2008年からは長崎純心大学で講師として勤務。2009年より同大学比較文化学科准教授（漢文学専攻）となり、後に学科の統合改称を経て、文化コミュニケーション学科准教授（アジア専攻）として現在に至ります。また、海洋政策研究財団内島嶼資料センター島嶼資料調査委員や正かなづかひの會幹事、笹川平和財団島嶼資料センター調査委員も務め、2016年度には内閣官房委託沖縄平和協力センター尖閣資料調査事業特別研究員としても活動しました。

研究内容

石井氏の研究は、主に「音」に焦点を当てています。元曲崑曲音楽や崑曲字音、漢文圏音律、蘇州語、漢字等韻学など、言語の音韻構造や歴史的な変化を深く掘り下げています。また、長崎唐学や漢文教育、漢文文明論といった、文化的な側面からの研究も行っています。

特に注目されるのは、尖閣諸島に関する研究です。石井氏は、古来の漢籍や漢文資料、19世紀にヨーロッパ人が作成した地図などを詳細に分析し、中国や台湾の主張を否定。尖閣諸島が歴史的に琉球の一部であったという独自の視点を提唱しています。この主張は、論文や書籍出版、ブログ記事、記者会見など、様々な形で情報発信されており、中国語での発表も行っています。

著作

石井氏の著作には、単著として『尖閣反駁マニュアル百題』や『尖閣釣魚列島漢文史料 = Hanvun historical documents of Senkaku Tiohisu Islands : 和訓淺解』があります。また、共著としては、『そうだったのか「沖縄！」』や複数の『島嶼研究ジャーナル』、その他にも『日本の国益―野蛮・中国に勝つための10の論点』など、幅広いテーマで執筆活動を展開しています。監修としては、石平氏の著書『中国が反論できない 真実の尖閣史』を手がけています。連載記事としては、八重山日報で「尖閣大航海時代」を執筆していました。

その他の活動

石井氏は、研究活動に加えて、自身のブログ「尖閣480年史 - いしゐのぞむブログ 480 years history of Senkakus」やX（旧Twitter）を通して、積極的に情報発信を行っています。また、KAKEN（科学研究費助成事業データベース）やCiNii（論文情報ナビゲータ）、researchmap、J-GLOBALなどの研究者データベースにも登録されており、その研究成果は広く公開されています。

石井望氏は、多岐にわたる分野で深い知識と独自の見識を持ち、漢文学、言語学、そして尖閣諸島問題において、重要な役割を果たしている研究者と言えるでしょう。

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