石井英之助 (農林官僚)

石井英之助は、20世紀前半の日本において、農林行政に深く関わった官僚です。1900年1月16日に東京府で生まれ、1974年3月7日に生涯を閉じました。彼の足跡は、激動の時代における日本の農業と食糧を支えた重要なものとして記憶されています。

東京府立一中、第二高等学校を経て、1923年に東京帝国大学経済学部を卒業。同年12月には文官高等試験行政科試験に合格し、農商務省に入省。山林局に配属されたことが、官僚としてのキャリアの始まりでした。

その後、畜産局畜政課長、同馬事課長、馬政局競馬監査課長、同肥料課長、大臣官房文書課長、蚕糸局長、農政局長、東亜農業研究所理事など、農林行政の様々な要職を歴任しました。これらの職務を通じて、畜産、馬政、蚕糸業、農業政策など、幅広い分野でその手腕を発揮。日本の農業の発展に貢献しました。

1944年2月には群馬県知事に就任。戦時下という困難な状況下で、県政を担い、食糧確保や物資の統制などに尽力しました。1945年4月に知事を退任後、食糧管理局長官に就任。終戦直後の食糧難という危機的状況の中、食糧の確保と配給に奔走しました。同年8月に退官し、その後、公職追放となりました。

公職追放解除後は、全国販売農協連合会長、米価審議会委員、日本農業研究所理事長、国際食糧農業協会長などを務め、再び農業界で活躍しました。戦後の食糧問題や農業政策の再建に尽力し、日本の農業の発展に大きく貢献しました。

石井英之助は、激動の時代に日本の農業と食糧を支えた官僚として、その名が刻まれています。彼の功績は、今日の日本の食糧安全保障の礎となっています。

参考文献
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。

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