米価審議会

米価審議会とは

米価審議会は、農林水産省（旧農林省）の諮問機関として、1949年から2001年まで存在した審議会です。主な役割は、米価をはじめとする主要食糧の価格に関する基本方針を審議することでした。具体的には、政府が農家から買い入れる際の価格（生産者米価）と、政府が卸売業者に売り渡す際の価格（消費者米価）について、農林水産大臣の諮問に応じて答申を行っていました。

歴史

米価審議会の源流は、1921年に設置された米穀委員会に遡ります。その後、米穀統制法（1933年）、食糧管理法（1942年）の下でも、同様の機能を持つ組織が維持されました。1949年8月2日に米価審議会の設置が閣議決定され、同年9月5日に第一回審議会が開催されました。当初は非公式なものでしたが、その後、法制化されました。

1949年11月、政府は生産者米価を石当たり4250円と決定しました。これは、米価審議会が答申した4700円を下回るものでした。また、同年12月には、消費者米価を10キロ当たり445円と決定しました。1950年以降も、米価審議会の答申と政府の決定との間に乖離が見られました。例えば、1950年には、米価審議会は生産者米価を石当たり5800円と答申しましたが、政府は5529円と決定しました。

1951年には、経済安定本部に所属していた物価庁所管の審議会となり、法制化に伴い、正式な審議会としての地位を確立しました。同年には、都市と農村の所得均衡を図るため、米価算定に所得パリティ方式の採用を政府に答申しました。1952年には、食糧庁の所管に移管されました。

当初、米価審議会は生産者、消費者、学識経験者および国会議員で構成されていましたが、1968年には国会議員が除外され、翌年には生産者5名、消費者5名、学識経験者15名の合計25名で構成されるようになりました。

審議会の形骸化と廃止

1970年代以降、米の消費量減少、減反政策、更には諸外国からの米輸入自由化要求などが絡み合い、米価審議会の運営は困難を極めました。農業協同組合などの生産者団体や与党議員（特に「農林族」と呼ばれる議員）の介入が激化し、審議会での答申は無視され、政府の政治判断によって米価が決定されることが常態化しました。このような状態は、「政治米価」と批判されました。

1994年の食糧法制定以降、米の流通自由化が進み、米価審議会の役割は形骸化しました。1999年の審議会制度の大幅見直しに伴い、米価審議会は2001年に廃止されました。長年、日本の米価政策において重要な役割を果たした米価審議会は、政治的な影響力の増大と制度の形骸化により、その歴史に幕を閉じたのです。

米価審議会の主な役割

米価をはじめとする主要食糧の価格に関する基本方針の審議
生産者米価と消費者米価に関する答申
都市と農村の所得均衡を図るための政策提言

米価審議会の問題点

政治介入による審議の形骸化
生産者団体の影響力の増大
消費者利益の軽視
* 米価決定の不透明性

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