石勇

石勇（せき ゆう）

中国の古典小説『水滸伝』に登場する石勇は、梁山泊の好漢の一人であり、地醜星の生まれ変わりとして知られています。彼の別名は「石将軍」で、これは民間の伝承に登場する悪神の名に由来しています。石勇は粗暴な性格を持ちながらも、その容姿は背が高く、がっしりとした顔立ちをしています。髭はなく、若々しさを保っています。本来は短棒の名手であり、武道においても一定の腕前を誇りますが、梁山泊では酒場の管理や馬の調達、行軍路の整備など実務的な役割を果たしました。

生涯の軌跡

彼の人生は波乱に満ちています。北京大名府で賭博に関連した殺人事件を起こし、逃亡を余儀なくされました。逃げ込んだ先は滄州の大侠客・柴進のもとで、そこで天下の義士・宋江の存在を知ります。石勇は一目でも宋江に会いたいと考え、鄆城県を訪れますが、不運にもその時彼は思わぬ犯罪を犯したため、まさに行き違いになってしまいました。宋江に手紙を託されたのは、彼の弟である宋清でした。

石勇は柴進の屋敷に戻り、その後宋江が青州白虎山へ向かうとの情報を得ます。青州へ向かう途中、茶店で休んでいるとき、ちょうど宋江の一行と出会い、手紙を渡すことができました。そこには、宋江の父が死去したという知らせが記されていましたが、これは実際には宋江を故郷へ呼び戻すための策略でした。これにより、故郷へと戻った宋江を除いて、石勇はそのまま梁山泊に加わることになります。

以降、石勇は梁山泊で義侠活動を続けました。特に、宋江が故郷に戻った際に受けた冤罪による処刑の決定に際しては、彼の救出に参加することになります。その後、梁山泊に新たに設けられた三つの酒場のうちの北の店を任され、情報収集や見張りを担当します。しかし、呼延灼との戦いで店が破壊され、自身の役割は馬匹調達の担当にシフトしていきます。

彼は、百八星の集結後に歩兵部隊長に任命されますが、このときの配置は最下位でした。それでも、進軍路の整備や行方不明者の捜索といった仕事に日々従事しており、時折は王慶との戦闘や方臘討伐戦でも戦功を挙げることがありました。方臘討伐戦では、敵城・歙州攻めに加わり勝利に貢献しますが、最後には敵将・王寅を追い詰めようとし、勇敢にも騎馬の敵に対して突進します。しかしその際、敵の槍に刺され、胸を貫かれて命を落とすこととなります。石勇の生涯は、勇猛さと甘い夢を抱きながらも波乱に満ちた運命で彩られています。

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