石原孝哉

石原孝哉氏は、1943年4月生まれの日本の英文学者であり、駒澤大学名誉教授の称号を有する。その専門はシェイクスピア研究に留まらず、英国史や文化にまで広がり、深い知識と見識で知られる学者である。

山梨県で生まれた石原氏は、1966年に駒澤大学文学部英文科を卒業後、1968年には同大学院修士課程を修了した。その後、駒澤大学北海道教養部専任講師、岩見沢駒澤短期大学兼任講師を経て、1971年に駒澤大学外国語学部助教授に就任。1981年には教授に昇任し、長年にわたり後進の育成に尽力した。

国際的な視野も持ち合わせている石原氏は、1977年から1978年、そして2003年から2004年にかけて、ケンブリッジ大学で客員研究員として研究活動を行った。ケンブリッジ大学での研究活動は、彼の学問的探求をさらに深める上で貴重な経験となったことは間違いない。2014年に駒澤大学を定年退職し、名誉教授の称号を贈られた。現在も日本ペンクラブ会員として、精力的に活動を続けている。

石原氏の研究活動は多岐に渡るが、その中心はシェイクスピア研究にあると言える。シェイクスピアの超自然的な要素を分析した『シェイクスピアと超自然』や、英国の歴史と幽霊を絡めた『幽霊のいる英国史』など、独特の視点と深い洞察に基づいた著作は高い評価を得ている。また、歴史上の人物を題材とした『悪王リチャード三世の素顔』や、ヘンリー五世の複雑な側面に迫った『ヘンリー五世 - 万人に愛された王か、冷酷な侵略者か』といった著作からも、歴史に対する深い知識と理解が窺える。

単著だけでなく、共著や翻訳にも多数携わっている。川成洋氏との共著『素顔のスペイン』（改題『スペイン夢行』）、『ロンドン歴史の横道』『イギリス人の故郷』（改題『イギリスの田舎町』）『ロンドン歴史物語』『イギリス田園物語 田舎をめぐる旅の楽しみ』など、英国、スペインの文化や歴史を紹介する著作は、多くの読者に親しまれている。市川仁氏、内田武彦氏との共著も多く、ロンドンの歴史や文化を深く掘り下げた『ロンドン・パブ物語』『ミステリーの都ロンドン ゴースト・ツアーへの誘い』なども代表的な著作と言える。

さらに、翻訳活動にも積極的に取り組んでおり、ジョージ・ウィルソン・ナイトの『煉獄の火輪 シェイクスピア悲劇の解釈』、ノースロップ・フライの『シェイクスピア喜劇とロマンスの発展』、『ノースロップ・フライのシェイクスピア講義』などの翻訳を通して、英語圏の学術的知見を日本の読者に届けている。

これらの著作を通して、石原氏はシェイクスピア研究のみならず、英国史、文化、そしてスペイン文化に関する幅広い知識と深い造詣を示している。彼の研究は、単なる学問的探求にとどまらず、多くの人々に英国、そして世界への理解を深める上で大きな役割を果たしていると言えるだろう。その多彩な活動は、今後の研究活動への期待を高めるものである。

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