石和温泉

石和温泉

石和温泉は、山梨県笛吹市にある温泉地で、隣接する春日居温泉と合わせて「石和温泉郷」として知られています。道路標識や旅行雑誌などでは「石和温泉」または「石和温泉・春日居地区」として案内されることが多く、一体的な温泉地として認識されています。

概要

石和地区と春日居地区は宿泊施設や源泉が隣接しており、実質的に一つの温泉街として機能しています。春日居地区の源泉が石和地区の施設に配湯されたり、その逆のパターンも存在します。また、「県営石和温泉給湯口」の2号源泉は春日居町に位置していますが、「県営石和温泉」に含まれています。

近年では、石和温泉駅周辺の温泉街から離れた郊外に、日帰り入浴施設や健康ランド、ビジネスホテルなどが建設され、これらの施設も「石和温泉」として親しまれています。

歴史

戦前、ブドウ畑の井戸から温泉が湧出する噂がありましたが、1956年に小松安則がボーリング調査を行ったところ、40℃以上の温泉が湧き出しました。これを受け、小松遊覧農場（現在のウインズ石和）にローマ風呂や遊具が設置され、レジャー施設として賑わいました。ウインズ石和の入口付近には「石和温泉発祥之地」の碑が建っています。

1957年以降、小松遊覧農場の成功を受けて、地元の有力者が次々と温泉を掘り当て、温泉開発が活発化しました。慶山、糸柳、泉山荘、新光、ふじ等のホテルが源泉を掘削し、旅館を開業しました。

1961年には、旅館「いすみ荘」で毎分2,000L、泉温49℃の温泉が湧出し、周辺の川や田畑に流れ出しました。即席の露天風呂が作られ、「青空温泉」としてテレビで全国放映されたことがきっかけで人気を集めました。

戦後の高度成長期には、都心からのアクセスが良好な歓楽温泉街として発展し、団体旅行客向けの温泉旅館や風俗街が形成されました。歴史は浅いものの、「昭和レトロ」な雰囲気を楽しむことができます。

近年では、個人客や外国人客向けに、鵜飼いや和太鼓演奏などのイベントを開催し、周辺の果樹園やワイナリーと連携して、ワインやフルーツ狩りをPRしています。

温泉街

石和温泉駅と笛吹川の間には、約1kmにわたって温泉街が広がっています。全盛期には120軒以上の宿泊施設がありましたが、現在は50軒程度の温泉旅館が営業しています。宿泊施設は、大型施設から家族向けの旅館、高級旅館まで様々です。日帰り旅行向けの施設も増えており、健康ランドや足湯も楽しめます。

共同浴場は、石和温泉駅の南、市部地区に「石和温泉」という名前の浴場が1件あります。

泉質

泉質はアルカリ性単純泉で、無色無臭です。pHは8.5～9.5程度で、源泉が新鮮な場合は若干の硫化水素臭がすることもあります。石和温泉南西部では、薄墨色および微黄褐色のモール泉も見られます。

源泉は主に山梨県企業局によって集中管理され、各温泉宿や契約した家庭に供給されています。源泉の温度や湧出量は年々低下しており、新たな源泉の開発も行われています。

山梨県企業局分のみで換算すると源泉は5つ、毎分湧出量は1,680Lですが、石和温泉内にある一部温泉宿では自前で源泉を掘削・供給している所もあり、実際はこれ以上の源泉数・毎分湧出量があります。これに加えて春日居温泉の湧出量を含めると毎分8,080Lが湧出していると推測されます。

その他

温泉偽装

2004年の温泉偽装問題では、石和温泉にある宿泊施設の一つが、温泉法の適用外である井戸水を沸かしながら「石和温泉」と称して営業していたことが判明しました。

宿への酒類持ち込み

温泉宿への酒類の持ち込みは原則として禁止されていますが、温泉宿や旅行プランによっては条件付きで持ち込みが可能な場合もあります。事前に宿泊先へ連絡することをおすすめします。

石和温泉旅館協同組合では、山梨県内産ワインに限り、持ち込みを許可するキャンペーンを実施しています。

石和温泉が登場する作品

西部警察 - PART-I 第47話「笛吹川有情」
まえせつ! - 第四幕「えいぎょう」

関連項目

石和温泉郷
石和温泉駅
八田家書院
石和鵜飼
テアトル石和
笛吹市

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