石器時代へ行った男

『石器時代へ行った男』

概要

エドガー・ライス・バローズの『石器時代へ行った男』（英: The Cave Girl）は、アメリカの冒険小説。全2部から構成される本作は、1913年に第1部「洞窟の娘」としてオール・ストーリーに掲載され、1917年には続編「洞窟の男」が続きました。1925年には単行本が発行され、日本語訳は1977年に厚木淳の手によって『石器時代へ行った男』というタイトルで出版されました。挿絵やカバーアートは武部本一郎が手掛けています。

本作の物語は、教養豊かな富豪の息子が孤島で原始生活を体験しながら成長していく過程を描いています。特に原始生活を賛美する内容が特徴で、タイムトラベルに関する要素はありません。

あらすじ

第1部

物語の主人公、ウォルドー・エマースンはボストンの富豪の息子で、療養のために船で移動中に嵐に遭遇し、無人島に漂着します。彼はそこで原始人や猿人が住む未開の地に辿り着くことになります。ウォルドーは元々臆病で実務には無縁な青年であり、最初は何もできませんが、現地の女性ナダラとの出会いが彼の運命を変えます。ナダラは彼を「サンダー」、すなわち勇者だと誤解し、ウォルドーはその期待に応えるために肉体を鍛える決意をします。
まず、彼は約6ヶ月をかけて肉体を鍛え、武器や防具の使い方も学びます。彼は荒れた衣服のままですが、文明人としての自負を持って行動します。孤島での生活は厳しく、彼は何度も危険にさらされる中で成長していきます。ある時、彼は黒豹との遭遇を果たし、その戦いに勝利しますが、彼の生活はまだ厳しいものであり、様々な試練を通じて真の勇者へと変わっていくのです。

ウォルドーは他の穴居人たちとも遭遇し、実戦を通じて自らの力を試しますが、多くの敵を前にしては撤退するものの、勇敢さを次第に見せるようになります。そして、ナダラとの関係も深化し、彼女への愛情を自覚します。

第2部

二人が戻ると、ナダラの部族では新たにビッグ・フィストが王として君臨しています。ウォルドーの名声は広まっており、彼の帰還は多くの人に歓迎されます。しかし、ウォルドーはナダラと「正式に」結婚するための手続きを求めますが、部族にはそのような形式は存在しませんでした。そこで彼はナダラの老父から出生の秘密を聞かされ、ナダラが実は王家の血を引く存在であることを知ります。

この第2部では、ウォルドーはビッグ・フィストと対立し、彼を倒して王位に就くことに成功します。彼は民主主義の概念を部族に導入しようと試みますが、それは簡単なことではありません。彼にとってこれは新たな挑戦であり、彼自身が成長を示す道でもあります。

登場人物

• - ウォルドー・エマースン（サンダー）: 主人公。富豪の息子だが、最初は肉体的に貧弱で実務には無縁。原始生活を通じて成長し、最終的には王となる。
• - ナダラ: 現地の女性。実はフランス王家の末裔で、ウォルドーとの関係を通じて新たな人生を歩む。
• - ビッグ・フィスト: ナダラの部族の王。彼との対立が物語の重要な要素となる。

この作品は、文明と原始生活の対比を描きながら、個々の成長をテーマにした冒険物語です。ウォルドーの旅を通じて、読者は自己発見と愛の力を感じ取ることができるでしょう。

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