石室神社

石室神社とは

石室神社（いろうじんじゃ）は、静岡県賀茂郡南伊豆町の海岸近く、石廊崎の突端に位置しています。この神社は、伊豆の七不思議の一つとも言われ、歴史的にも多くの伝説を抱えています。本神社は石廊権現（いろうごんげん）あるいは石廊崎権現（いろうざきごんげん）としても知られ、元々は伊波例命神社（いはれのみことじんじゃ）と呼ばれていました。現在の祭神は伊波例命（いわれのみこと）とされていますが、その正確な情報は不明瞭な部分が残っています。

歴史と背景

神社の創建時期については諸説あり、必ずしもはっきりしたことは分かりません。社伝によると、文武天皇の大宝元年（701年）に初めて社殿が建てられたとされています。当初は観音像と第六天神が祀られ、その後、役小角が神託を受けて伊波例命を祀ることになりました。この段階での変更や、祭神の変遷が神社の歴史を豊かにしています。

また「石廊山金剛院縁起」によると、役小角が伊豆大島に流された際、十一面施無畏の神力を得てこの地に至ったことが記されています。その後、村人が夢の中で海に浮かぶ宝殿を見たことがきっかけで、その場所に十一面観音が安置されることになったという伝説もあります。江戸時代には徳川幕府から寄進を受け、神仏習合の時代には金剛山石室権現として多くの人々から崇敬されました。

熊野神社との関係

石室神社の近くには、熊野神社（くまのじんじゃ）も存在しています。両神社は密接な関係にあり、一体として扱われることが多いです。熊野神社の由来には、お静と幸吉の恋物語が語られています。お静は、漁師の幸吉と愛し合っていましたが、身分の違いから許されない恋に苦しんでいました。幸吉が神子元島に流された後、お静は毎夜火を焚き、彼を想い続けていました。

ある晩、火が見えず心配したお静は、神に祈りを捧げながら小舟で神子元島に向かいました。航行中の荒れた海に苦しむ中、願いが通じて無事に彼に会うことができ、その後二人は親の許しを得て結婚します。この物語は、熊野神社が縁結びの神として知られる背景ともなっています。明治初期の神仏分離により、熊野神社として別の名前で継続されました。

現在の石室神社

現在の石室神社は、明治34年（1901年）に再建された社殿を有し、海上安全や商売繁盛、学業成就の神として信仰されています。また、その立地は美しい景勝地としても知られ、多くの観光客が訪れます。神社の周囲は自然豊かで、訪れる人々にとっては心休まる場所となっています。伊豆半島最南端の地で、歴史と伝説が詰まった石室神社は、今日も人々の心のよりどころとして存在し続けています。

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