石山徹郎

石山徹郎（いしやま てつろう）

生涯

石山徹郎は、1888年（明治21年）8月18日に秋田県雄勝郡で生まれました。国文学者として、また文芸評論家、書誌学者として多岐にわたる分野で活躍しました。1914年（大正3年）に東京帝国大学国文科を卒業。卒業論文では、当時としては珍しく現代文学を扱い、夏目漱石について論じました。これは、現代文学研究の先駆けとされています。

大学卒業後、石山は広島で中学校教師となりますが、1915年（大正4年）には退職し、万朝報の記者として活動しました。1918年（大正7年）には、武者小路実篤が創設した理想主義的な共同体「新しき村」の会員となり、その活動にも参加しました。

その後、教育者としての道を歩み始め、1920年（大正9年）に北海道帝国大学予科講師、後に教授に就任。1923年（大正12年）には松江高等学校教授、1924年（大正13年）には大阪府女子専門学校教授を歴任しました。1943年（昭和18年）11月に大阪府女子専門学校を退職するまで、教育者として多くの学生を育てました。1945年（昭和20年）7月30日に生涯を閉じました。

研究活動

石山徹郎は、国文学、特に近代文学の研究に力を注ぎました。夏目漱石の研究では、その文学作品を深く分析し、漱石文学の解釈に新たな視点をもたらしました。また、書誌学にも精通しており、『日本文学書誌』は、日本文学研究における重要な参考文献として評価されています。

著書

『有島氏の歩いた道』（新しき村出版部、1924年）
『文芸学概論』（広文堂、1929年）
『国文学講座 第18巻 現代文学「散文」評釈』（受験講座刊行会、1930年）
『日本文学書誌』（大倉広文堂、1934年）
『現代短歌』（日本評論社、1939年）
『漱石』（日本評論社、1946年）
『芸文論』（日本評論社、1948年）
『日本芸文史論』（伊藤書店、1948年）

共編著

『本邦女訓選集』（世界文献刊行会、1925年）
『樋口一葉 評釈伝記』（日本評論社、1941年、榊原美文共著）
『日本説話文学索引』（日本出版社、1943年、平林治徳、境田四郎共編）

翻訳

エドワード・ベル『埃及建築史』（向陵社、1916年）
ペトリー『埃及美術史』（向陵社、1916年）
『陶淵明詩集』（日向新しき村出版部、1927年）

参考文献

* 「日本近代文学大事典」（講談社、1984年）

脚注

石山徹郎は、その多岐にわたる活動を通して、日本の文学研究に大きく貢献しました。彼の業績は、現代においても、多くの研究者や文学愛好家にとって貴重な資料となっています。また、教育者としても多くの人材を育成し、その影響は多方面に及んでいます。

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