新しき村

一般[[財団法人]]新しき村

一般[[財団法人]]新しき村（あたらしきむら）は、日本におけるユートピア的な共同体の代表例であり、埼玉県入間郡毛呂山町および宮崎県児湯郡木城町に位置しています。この村は、著名な作家である武者小路実篤と彼の仲間たちによって1918年に設立されました。

歴史的背景

新しき村は、武者小路実篤が理想郷を目指して創造した場所であり、当初は宮崎県（旧日向国）児湯郡木城町に開村されました。村の立地は、小丸川の蛇行部分にある丘陵地で、歴史的には戦国時代の新納石城の跡地です。しかし、1938年にダムの建設が決まり、一部の農地が水没することになったため、翌年には一部が埼玉県に移転し、残った地域は日向新しき村として存続しました。

第二次世界大戦後、新しき村は1世帯のみの状態となりましたが、入村者が増え続け、1948年に財団法人としての認可を受けました。その後、養鶏業が成功をおさめ、1958年には外部からの援助なしで自給自足の生活が可能になりました。1960年代から70年代にかけては、多くの新しい住民が移住し、村の生活は活性化しました。

共同体の理念

新しき村は単なる生活の場ではなく、精神的な成長と自給自足の生活を追求するために設計されています。参加者は、農業（特に養鶏や稲作、椎茸栽培）を中心に、社会階級や格差を排除した生活を実践しています。労働のルールとしては、1日6時間、週1日の休みが設けられ、余暇の時間には自己を高める活動が奨励されています。住居や食事は無償で提供され、個人の持ち物についても完全には否定されていませんが、毎月35,000円程度の個人費が支給されるシステムとなっています。

最近では、村内の高齢化や農業収入の低迷が影響し、運営が厳しくなってきています。特に、鶏卵の価格低下や人手不足により養鶏を中止するケースが増えており、過去の蓄えを取り崩さなければならない状況です。2010年からは太陽光発電も開始しましたが、売電額の減少が経済的な負担となっています。2023年2月時点では村内に住んでいるのはわずか3人で、村外には約160人の会員がいます。

活動と未来への展望

村の存続を助けたいと願う村外のメンバーたちは、2018年に「日々新しき村の会」を設立しました。また、2022年には公益法人化を目指して申請を行い、ウェブサイトのリニューアルやクラウドファンディングの検討も進めています。古くなった施設の解体やトイレの改修を行い、新しい村民や訪問者を迎え入れる準備を進めています。これらの活動を通じて、村の精神を引き継ぎ、未来の世代へとつなげることが期待されています。

精神的な理念

新しき村の理念は、全人類が天命を全うし自己を成長させることに根差しています。他者の存在を尊重しつつ、自らの幸福を追求することが奨励されており、個々の自我の発展が村全体の協力と共生を促します。このような考えは、国や階級の枠を越えた真の協力や平和を求めるものであり、武者小路実篤の哲学的背景とも通じています。

新しき村は、単なる居住地でなく、人と人とのつながり、そして相互の理解をもとにした新しい社会のモデルとして、これからもその理念を伝えていくことが求められています。

もう一度検索