石川タクシー富士

石川タクシー富士株式会社

石川タクシー富士株式会社は、日本の交通事業者の一つであり、静岡県富士市に本社を置いて活動している。この会社は、大手私鉄である富士急行株式会社を中心とする富士急行グループの一員である。主な事業内容はタクシー営業であるが、それと並行して、富士市内におけるコミュニティバスの運行も市から委託を受けて実施しており、地域公共交通の一翼を担っている。なお、日本のバス事業者の業界団体である公益社団法人日本バス協会の会員にはなっていない。

沿革

同社の設立は2003年4月に遡る。当時存在していた富士急石川タクシー株式会社の事業を新設分割という手法により承継し、新たな法人として発足した。

設立後、タクシー事業を核としながら、富士市内の公共交通網を補完するコミュニティバス事業にも積極的に関与していく。2007年4月25日には、田子浦地区コミュニティバス「しおかぜ」の運行を開始し、これが同社にとって最初のコミュニティバス運行となった。続く2008年1月7日には、市民の夜間における移動手段を確保するため、「ナイトシャトル」の運行を開始した。さらに同年10月1日からは、岩松北地区を巡回する「こうめ」と、富士南地区を走る「みなバス」の実験運行に着手し、これらの路線は地域住民の利用状況や要望を踏まえ、翌2009年10月1日より本格運行へと移行した。また、2009年11月2日には、丘地区コミュニティバス「おかバス」の実験運行も同社が担当している（この「おかバス」は後に運行を終了している）。吉原地域と富士駅北部を結ぶ「うるおい」については、2010年11月1日に実験運行が始まり、こちらも利用者数の増加や定着を受けて、2012年11月1日には本格運行へと切り替えられた。さらに、早朝の通勤・通学といったニーズにも対応するため、2012年6月1日からは「モーニングシャトル」の運行も開始しており、時間帯や地域に応じた多様なサービスを提供している。

運行路線

現在、石川タクシー富士株式会社が富士市から受託して運行している公共交通サービスは多岐にわたる。これには、田子浦地区コミュニティバス「しおかぜ」、岩松北地区コミュニティバス「こうめ」、富士南地区コミュニティバス「みなバス」といった各地区内を巡回する路線に加え、吉原や富士駅、新富士駅などを結ぶ「ナイトシャトル」「モーニングシャトル」、そして吉原・富士駅北地区を連絡する「うるおい」が含まれる。

これらの運行路線で使用される車両には特徴がある。「こうめ」路線では、定員が比較的多く、コミュニティバスとして一般的な小型バス車両である日野・リエッセが使用されている。しかし、「しおかぜ」や「みなバス」、「ナイトシャトル」「モーニングシャトル」、「うるおい」といった他の多くの路線では、主に9名程度の乗車が可能なジャンボタクシー車両が用いられている。これらの路線は、運行ルートと時刻が定められている点ではバスに近いが、使用車両や運行形態の実態から、固定ルート・定時運行型の乗合タクシーとして位置づけることができる。かつて実験運行を担当した丘地区コミュニティバス「おかバス」も、同様にジャンボタクシー車両が使用されていた。同社は、これらのコミュニティ交通の運行を通じて、タクシー事業と合わせて、富士市における地域住民の日常的な移動を支える重要な役割を担っている。

参考文献

『2009 静岡県会社要覧』財団法人静岡経済研究所

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