石川光忠

石川 光忠の生涯

石川光忠（いしかわ みつただ）は、尾張藩の家臣であり、石川家の初代当主としてその名を残しています。彼は文禄3年（1594年）、豊臣家臣で播磨国の龍野城主であった石川光元の子として生まれました。しかし、光元は慶長5年（1600年）に関ヶ原の戦いにおいて西軍に属したため改易となり、翌年にその生涯を閉じました。

光忠は、父の光元を偲び、慶長8年（1603年）に京都の妙心寺に大雄院を建立しました。この大雄院の土地は彼の叔父である石川貞清が寄進したものであり、貞清が慧南玄譲という開祖となる僧を呼んだことからも、家族間の強い結びつきが伺えます。光忠自身はまだ10歳でしたが、叔父の尽力によってこの寺院が成立したことは、彼の人生において重要な背景を形作っていました。

さて、光忠の母は徳川家康の側室となり、同時に松平仙千代や徳川義直という子供をもうけました。このような家族関係から、光忠も慶長13年（1608年）には家康に召し出され、慶長15年（1610年）には美濃国と摂津国において合計1万300石の知行を与えられることになりました。これは彼の政治的地位を固める重要なステップでした。

その後、慶長17年（1612年）には尾張藩主である異父弟、徳川義直のもとに仕官し、名古屋城代としての責務を担うことになります。異父兄である竹腰正信も同様に義直に仕官しました。大坂の陣では、光忠は義直に従い出陣し、家族と共に強固な関係を保ちました。

光忠の生涯は多くの試練と栄光に彩られていますが、彼は寛永5年（1628年）9月18日に35歳でその生涯を閉じました。彼の死後、家督は長男の正光が受け継ぎ、次男の宗直に2000石、三男の忠昌には1000石が分与されて部家が設立されました。これらの分家は、石川家の名をさらに広めることになります。

光忠の系譜は、彼自身の活躍のみならず、家族との結びつきやその後の家の発展においても多大な影響を与えました。彼の人生は、戦国の騒乱を経て徳川幕府の時代を迎える過渡期にありながらも、個人の信念や家族の絆を深めた一例とも言えるでしょう。石川光忠に関する詳細な情報は、『名古屋市史』及び『尾藩諸家系譜』に記されています。

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