石川忠輔

石川忠輔について

石川忠輔（いしかわ ただすけ）は、戦国時代の武将であり、三河国碧海郡小川（現在の愛知県安城市）を拠点とした石川氏の一族です。彼は松平親忠、長親、信忠、清康の四代に渡って仕え、特に松平家の初期の発展に大きく貢献しました。後に、岡崎五人衆（忠輔、天野貞有、植村新六、内藤義清、林藤助）の一人として数えられ、その武勇と功績を称えられました。

生涯

忠輔は、松平親忠と長親の御前で元服し、親忠から偏諱を賜り「忠輔」と名乗りました。彼は石川家の本拠地である小川（現在の安城市小川町志茂）の伯父である康長と協力し、野寺本證寺などの地侍たちを安祥松平家の麾下に組み入れました。これにより、三河の本願寺門徒の武士たちが松平家に仕えるようになり、松平家の勢力拡大の基盤を築いた功労者の一人として評価されています。

しかし、忠輔が仕えた主君である松平信忠は、『不器用者』と評されるほど統率力に欠け、民や家臣からの信頼を得られませんでした。その暗愚で強情な性格から、多くの家臣が出仕を拒否する事態にまで発展したと伝えられています。こうした状況下で、忠輔は信忠を諫めるために、ある大胆な行動に出ます。忠輔は信忠に城外に美人がいると嘘を伝え、誘い出して大浜称名寺に監禁したという逸話が残っています。この行動は、主君の不徳を正そうとする忠輔の強い意志を示すものと言えるでしょう。

その後、『松平由来書』によると、大永3年（1523年）に信忠は、一門衆との協議の結果、酒井忠尚にその内容を伝えられ、それを受け入れて隠居を決意しました。信忠は34歳で家督を嫡男の清康に譲り、三河国幡豆郡大浜郷で出家しました。このように、忠輔の行動が信忠の隠居と松平家の安定につながったとも考えられます。

忠輔は、弘治3年6月28日（1557年7月24日）に亡くなりました。彼の生涯は、松平家の発展に尽くした忠臣としての姿と、主君の不徳を正そうとした武将としての強い意志が示されています。

参考文献

『新訂 寛政重修諸家譜 第3』続群書類従完成会、1981年
『石川家先祖覚書』
『石川家由来』
『石川家系譜』
『石川家譜』
『石川家譜難波録』

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