石川淳 (経営学者)

石川 淳

石川 淳（いしかわ じゅん）氏は、1962年に生まれた日本の経営学者です。現在、立教大学経営学部において教授を務め、リーダーシップ論、人的資源管理論、組織行動論といった分野を専門としています。特に「シェアド・リーダーシップ」に関する研究は、その第一線で活躍するパイオニアとして高く評価されています。

経歴

石川氏は東京都の出身です。学歴としては、1980年に芝中学校・高等学校を卒業した後、1984年に慶應義塾大学法学部政治学科を卒業されました。さらに学術的な探求を深めるため、同大学大学院経営管理研究科に進学され、1995年に修士課程を修了しました。そして、2001年には博士課程を修了し、経営学の博士号を取得しています。

大学院での研究と並行し、または修了後に、帝国臓器製薬での実務経験を積まれました。その後、学術研究と教育の道に進み、1998年に山梨学院大学商学部の専任講師として教員キャリアをスタートさせました。同大学では2001年には助教授に昇任されています。

2003年からは活躍の場を立教大学に移し、社会学部産業関係学科の助教授を務められました。立教大学では順調にキャリアを重ね、2006年に経営学部の助教授となり、2007年には准教授、そして2009年には正教授へと昇任されました。教育・研究活動に加え、大学の運営においても重要な役割を担っており、2014年から2017年の期間には経営学部長を務められました。また、2014年から2020年にかけては立教大学リーダーシップ研究所の所長として、関連分野の研究推進に貢献されました。2021年からは立教大学の統括副総長に就任しており、大学全体の発展に向けた取り組みを主導しています。

研究分野と業績

石川氏の主要な研究領域は、現代の組織運営において不可欠な要素であるリーダーシップ論、企業と従業員の関係性を深く掘り下げる人的資源管理論、そして組織内での人間の行動や相互作用を分析する組織行動論に及びます。これらの分野における長年の研究は、特に「シェアド・リーダーシップ」という概念の提唱と普及に大きく貢献しており、同分野における日本の第一人者としての地位を確立しています。シェアド・リーダーシップは、特定の個人にリーダーシップを固定するのではなく、組織内の複数のメンバーが状況に応じてリーダーシップの機能を分担・交代することで、より柔軟で効果的な組織運営を目指す考え方であり、現代の多様化・複雑化するビジネス環境においてその重要性が増しています。

石川氏は、その研究成果を多くの著書や論文として発表しており、学術界のみならず実務家にも影響を与えています。

主な著書

単著

『リーダーシップの理論』（中央経済社, 2022年）
『シェアド・リーダーシップ』（中央経済社, 2016年）

共著

（石田英夫, 永野仁, 梅沢隆, 蔡仁錫）『MBA人材マネジメント』（中央経済社, 2002年）

分担執筆

（村上由紀子）『グローバル研究開発人材の育成とマネジメント』（中央経済社, 2019年）
（立教大学経営学部）『善き経営 GBIの理論と実践』（丸善雄松堂, 2016年）
（Nuttawuth Muenjohn）Organizational Leadership: Concepts, Cases and Research（Cengage Learning Australia, 2012）
（服部治, 谷内篤博）『人的資源管理要論』（晃洋書房, 2000年）
（石田英夫）『研究開発人材のマネジメント』（慶應義塾大学出版会, 2002年）
（髙木晴夫）『人的資源マネジメント戦略』（有斐閣, 2004年）
（青島矢一）『企業の錯誤 教育の迷走』（東信堂, 2008年）

これらの著作は、石川氏の研究の深さと広がりを示すものであり、リーダーシップや組織、人材マネジメントに関心を寄せる研究者、学生、実務家にとって貴重な情報源となっています。石川氏は、教育者、研究者、そして大学運営の要職を通じて、日本の経営学の発展に貢献を続けています。

もう一度検索