石川県立小松工業高等学校

石川県小松市打越町に所在する石川県立小松工業高等学校は、地域産業を支える技術者育成を担う公立の工業高等学校です。略称は「小松工（こまつこう）」と呼ばれ、地元に根差した教育を展開しています。

概要

本校は、1939年（昭和14年）に、地元の世界的企業である小松製作所（コマツ）からの多大な寄付を受けて、石川県立小松工業学校として開校しました。この設立経緯から、小松製作所の創業者である竹内明太郎氏を学校の「学祖」としており、その建学の精神は今日まで受け継がれています。

設立当初は小松市中心部の小松駅東側に位置し、水田に囲まれた郊外の環境でしたが、近年の小松駅東口周辺の整備や郊外型商業施設の進出により、次第に都市化が進んでいます。学校としても、生徒たちの課題研究活動を通して校内の道路舗装や駐輪場の照明設置など、実践的な学びを通じて施設の改善に取り組んでいます。また、創立70周年を迎えた2009年（平成21年）には、記念事業として校門やその周辺の環境整備が行われ、歴史と伝統を感じさせる佇まいとなっています。

設置学科

現在、石川県立小松工業高等学校には、以下の4つの学科が設置されています。

機械システム科
電気科
建設科
材料化学科

これらの学科は、それぞれの専門分野における基礎知識と高度な技術・技能を習得し、将来の産業界で活躍できる人材を育成することを目指しています。

沿革

本校の歴史は多岐にわたり、学科の改編や校舎の移転などを経て発展してきました。

1939年（昭和14年）4月、石川県立小松工業学校として、機械科と電気科を設置して開校しました。翌1940年（昭和15年）には現在の小松市向野地方に新校舎を建設して移転し、第二本科機械科も新設されました。

戦後の学制改革に伴い、1948年（昭和23年）には小松商業学校と統合し、石川県立小松実業高等学校となりました。さらに1949年（昭和24年）には小松高等学校、小松実業高等学校、小松農業高等学校が統合され、総合制の石川県立小松高等学校の一部となりますが、1952年（昭和27年）には再び小松実業高等学校と小松高等学校に分離しました。その後、家庭科（1953年）、農業科（1954年）が廃止され、実業系の学科に特化していきます。

1963年（昭和38年）には、石川県立小松商業高等学校が新たに設立されたことに伴い商業科の募集を停止し、小松市打越町の現在地へ新校舎を建設して移転しました。そして1965年（昭和40年）に商業科が完全に廃止されたことを機に、現在の校名である石川県立小松工業高等学校と改称し、工業化学科を新設しました。

以降、建築科（1966年）、土木科（1967年）が相次いで設置され、工業高校としての体制が確立されました。1970年代から1980年代にかけては、実習棟や体育館、同窓会館など、教育環境を充実させるための施設整備が精力的に行われました。特に実習棟は複数回にわたって増築・改修され、多様な工業分野に対応できる設備が整えられました。

平成に入ると、学科の名称や内容が時代に合わせて改編されました。1990年（平成2年）に機械科が機械システム科に、1994年（平成6年）には電気科の一部が電子情報科に、工業化学科と繊維工学科がマテリアル科にそれぞれ改編されました。2000年代には校舎の耐震補強工事が進められ、施設の安全性が向上しました。

2004年（平成16年）には、同じく竹内明太郎氏を学祖とする高知県立高知工業高等学校と姉妹校提携を結び、交流を深めています。2013年（平成25年）には、学科の再編が行われ、機械システム科と機械テクニカル科を統合して機械科を新設（2020年に再び機械システム科へ改称）、電子情報科、建築土木科、マテリアル科の募集を停止し、新たに建設科と材料化学科が設置され、現在の学科体制となりました。

近年では、教育の情報化に対応するため、2019年（令和元年）に教室に大型モニターが整備されました。また、2024年（令和6年）1月1日に発生した能登半島地震では、揺れにより一部校舎に被害を受けました。

部活動

生徒たちは学習活動だけでなく、様々な部活動にも積極的に参加し、全国レベルで活躍する部も多くあります。

運動部：陸上競技部、野球部、卓球部、バスケットボール部、バレーボール部、ハンドボール部、サッカー部、テニス部、ソフトテニス部、バドミントン部、柔道部、弓道部、ウエイトリフティング部、山岳部、ボウリング部、少林寺拳法部などがあります。

文化部：美術部、放送部、吹奏楽部、茶道部、将棋部、インターアクト部などがあります。

工業部：機械研究部、電気情報部、建設部、材料化学部など、学科と連携した専門性の高い部活動も盛んです。

主な部活動の実績

野球部：夏の甲子園には2回出場しており、1964年の第46回大会で初出場を果たし、2000年の第82回大会にも出場しました。
陸上部：全国高等学校駅伝競走大会には9回出場しており、石川県の高校として有数の出場回数を誇ります。競歩種目では、北村信也氏が全国規模の大会で複数回優勝したほか、浜出都好氏が5000メートル競歩で日本高校記録を樹立するなどの顕著な成績を残しています。
バレー部：インターハイに2回、春の高校バレー（選抜優勝大会）には3回出場経験があります。
ハンドボール部：インターハイには25回、全国高等学校ハンドボール選抜大会には13回出場と、全国大会の常連校として知られ、特に1994年の選抜大会では準優勝という輝かしい成績を収めています。
山岳部：全国高等学校登山大会には複数回出場しており、1995年には男子縦走の部で3位、2015年には高島トレイル・比良山系での大会で13位に入賞しています。

校歌

校歌は、北村亝氏が作詞・作曲を手掛けています。

所在地

〒923-8567 石川県小松市打越町丙67

著名な出身者

中祥人（漫画家）
北篤（元プロ野球選手）
日向栄次（陸上競技選手）

石川県立小松工業高等学校は、創立以来、地域産業界との連携を大切にし、時代に即した技術教育を提供することで、多くの卒業生を社会に送り出しています。今後も「学祖」竹内明太郎氏の精神に基づき、ものづくりを通して社会に貢献できる人材の育成を目指しています。

（文字数調整のため、一部省略・加筆しました）

(補足: この文は内には含みません)

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