石川県立輪島高等学校

石川県立輪島高等学校（いしかわけんりつわじまこうとうがっこう）は、石川県輪島市河井町にある公立高等学校です。「輪高（わこう）」の愛称で呼ばれ、輪島市の中心部に位置しています。地域に根差した学び舎として、長年にわたり能登地方の中等教育を担ってきました。

歴史的背景

本校の歴史は、大正時代に創設された二つの旧制学校に始まります。1923年（大正12年）には石川県立輪島中学校が、続く1926年（大正15年）には輪島町立高等女学校が設立されました。後者は1928年（昭和3年）に県へ移管され、石川県立輪島高等女学校と改称されています。

戦後の学制改革に伴い、1948年（昭和23年）4月1日、これら旧制の中学校と高等女学校が統合され、新制の石川県立輪島高等学校が誕生しました。同年7月には定時制課程も開設され、多様な生徒に教育機会を提供しました。母校を支援する同窓会組織「桐章会」は、1949年（昭和24年）に前身校の同窓会を統合して結成されました。学校のシンボルである校旗と校歌は、1950年（昭和25年）に制定されています。

その後、校舎や体育館などの施設整備が進み、学びの環境が整えられました。地域によっては分校が設置された時期もありましたが、門前分校は1962年（昭和37年）に石川県立門前高等学校として、町野分校は1972年（昭和47年）に石川県立町野高等学校として、それぞれ独立を果たしました。また、1970年（昭和45年）には石川県立輪島実業高等学校の設立に伴い、本校の商業科が同校へ移管されるなど、能登地区の高校再編に合わせてその形を変えてきました。

近年では、少子化が進む地域情勢に対応するため、石川県の高校再編計画により、2008年（平成20年）4月に石川県立輪島実業高等学校と統合しました。統合当初は総合学科が設けられましたが、教育内容の見直しにより、2020年（令和2年）から全日制の普通科にビジネスコースを設置し、総合学科は2022年（令和4年）3月に閉科となりました。現在の学科構成は、全日制普通科ビジネスコースと定時制普通科となっています。

地域の拠点として

2024年（令和6年）1月1日に発生した能登半島地震では、校舎の一部が被災しましたが、本校は地域の重要な避難所として機能しました。体育館は被災された方々の避難場所となり、校庭は自衛隊の災害対応拠点として活用されるなど、困難な状況下で地域を支えました。生徒たちは約2週間後に授業を再開し、逆境の中でも学びを継続する強さを見せています。同年12月31日には、復興への願いを込めたNHK紅白歌合戦の特別企画として、歌手の坂本冬美さんが本校体育館から生中継で歌唱を行い、全国に輪島から希望のメッセージを発信しました。

教育理念と特色

本校は「個人の尊厳を自覚し、高い知性と豊かな徳性、強靱な体を養い広い視野に立って、個性に富む文化の創造を目指し、積極進取にして、明朗で誠実な人間の育成にあたる」という教育理念に基づき、社会で活躍できる心身ともに健全な人材の育成を目指しています。

生徒たちの自主性や協調性を育むため、部活動も活発に行われています。運動部には陸上、バレーボール、バスケットボール、ソフトテニス、サッカー、バドミントン、卓球、野球、水泳、ダンスがあります。文化部には吹奏楽、JRC、英語、パソコン、科学、美術、華道、茶道、和太鼓、箏曲があり、多様な興味関心に対応しています。アントナプレナー同好会も活動しています。

学校歌としては、川本清太郎作詞、藤井制心作曲の校歌のほか、安田梓作詞、浦一正作曲による「輪高賛歌～鳳雛の名のもとに～」が生徒に歌い継がれています。

著名な卒業生

輪島高等学校およびその前身校からは、各界で活躍する多くの卒業生を輩出しています。政治分野では石川宣雄氏（元穴水町長）や北村茂男氏（元衆議院議員）、スポーツ分野では小口貴子氏（スケルトン選手）、川﨑俊哲氏（プロ野球選手）、山中毅氏（水泳選手）、文化・芸能分野では三枝こころ氏（ファッションモデル）などが知られています。

石川県立輪島高等学校は、地域の歴史と深く結びつき、時代の変化に対応しながら教育を展開してきました。能登半島地震からの復興という困難に立ち向かいながらも、地域社会と共に未来を切り拓く人材を育み続けています。

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