石巻市立門脇小学校

石巻市立門脇小学校は、宮城県石巻市門脇町に所在した公立小学校です。2011年の東日本大震災では、教職員の適切な判断と避難誘導により、在校していた児童全員が無事だったことで知られています。閉校後、校舎は震災遺構として保存され、津波の脅威と防災の重要性を伝える施設となっています。

沿革

門脇小学校は、1873年（明治6年）に創立されました。その後、石巻小学校の分校となったり、釜分教場が創立されたりするなど、いくつかの変遷を経て、1902年（明治35年）に現在の場所へ新築移転しました。

1873年（明治6年）- 創立。
1887年（明治20年）- 石巻小学校の分校となる。
1896年（明治29年）- 釜分教場創立。
1902年（明治35年）- 現在の場所へ新築移転。
1929年（昭和4年）- 門脇尋常小学校に改称。
1941年（昭和16年）- 門脇国民学校に改称。
1946年（昭和21年）- 釜分校から独立し、釜小学校が開校。
1947年（昭和22年）- 門脇小学校に改称。
1979年（昭和54年）- 大街道小学校が独立開校。
1982年（昭和57年）- 新校舎完成。
2011年（平成23年）3月11日 - 東日本大震災で被災。
2012年（平成24年）- 門脇中学校内に仮校舎完成。
2015年（平成27年）3月22日 - 閉校式を挙行。

東日本大震災

2011年3月11日、東日本大震災が発生した際、門脇小学校には全校児童300人のうち240人が在校していました。地震発生直後、教職員の指示のもと、児童たちは裏山の日和山へ避難を開始しました。下校後に学校へ戻ってきた児童も含め、計275名の児童が避難しました。

保護者も学校へ迎えに来ていましたが、安全確保のため、保護者も日和山へ避難させました。校舎には、新たに避難してくる人々を誘導するため、4人の職員が残りました。その後、津波が押し寄せ、校舎に残っていた住民と職員も急いで山へ避難しました。

門脇小学校では、以前から日和山への避難訓練を実施していたことが功を奏し、教職員、児童、保護者全員が混乱なくスムーズに避難できました。震災により、下校していた児童のうち7名が亡くなりましたが、在校していた児童は全員無事でした。これは、適切な避難ができなかった大川小学校とは対照的な結果となりました。

この地区での津波の高さは6メートルを超え、校庭に停めてあった多くの車が流されました。漏れ出したガソリンが引火し、校舎は炎に包まれました。消防庁によると、学校付近では56,100m2もの土地が延焼しました。津波と余震の影響で消火活動は難航し、火災は3日間も続きました。児童たちは4か所の避難所に分かれて生活を送りました。

被災した校舎は損傷が激しく、再利用を断念せざるを得ませんでした。その後、門脇中学校を間借りして授業が再開されました。しかし、震災により学区内の児童が減少し、増加の見込みもなかったため、2015年に石巻小学校と統合し、閉校となりました。

震災遺構

門脇小学校の校舎は、震災遺構として保存されることになりました。当初、住民からは早期解体を望む声もありましたが、震災の教訓を後世に伝えるため、一部を保存するという決定がなされました。市は維持管理費を抑制するため、校舎の中央部約67メートルのみを保存することにしました。保存場所は、学校跡地または南浜地区に整備予定の復興祈念公園という計画になりました。

石巻市は、2019年度より8億5000万円をかけて整備を実施しました。校舎は中央部の6教室分を残して解体され、残った部分は補強されました。2019年12月には解体工事が始まり、2020年2月までにほぼ完了しました。解体工事に先立ち、2019年10月9日には報道関係者向けに「最後の内部公開」が実施されました。

整備後の校舎内部は非公開とし、代わりに津波と火災の痕跡を外側から見学できるよう、鉄筋3階の観察棟が設けられました。また、特別教室棟と体育館は展示スペースとなりました。

震災遺構「旧門脇小学校」は、2022年3月30日に開館式が行われ、同年4月3日から一般公開が開始されました。体育館には、石巻市内で使用されていた応急仮設住宅2棟や、消防団および市の公用車の被災車両2台が展示されています。開館時間は午前9時から午後5時までで、毎週月曜日が休館日です。ただし、震災の月命日である毎月11日、みやぎ県民防災の日である6月12日、防災の日である9月1日、津波防災の日である11月5日は開館します。

閉校時の学区

閉校時の門脇小学校の学区は以下の通りです。

門脇町2丁目 - 5丁目
日和が丘2丁目（11番 - 13番）・4丁目
南光町1丁目・2丁目（1番を除く）
南浜町1丁目 - 4丁目
雲雀野町1丁目・2丁目
潮見町

閉校後は、これらの学区は統合先の石巻小学校が担当しています。卒業後は、公立中学校に進学する場合は門脇中学校へ進学していました。

著名な卒業生

門脇小学校の主な卒業生には、以下の人物がいます。

由利徹（喜劇俳優）
辺見庸（作家・ジャーナリスト）
涼風真世（女優・声優・歌手）※2年生まで在籍
松浦慶斗（プロ野球選手）※2年生まで在籍

関連項目

宮城県小学校の廃校一覧
青い目の人形

外部リンク

公式ウェブサイト
石巻市立門脇小学校 - ウェイバックマシン（2016年10月21日アーカイブ分）
2011年3月11日、学期最後の朝会で校長が子どもたちに贈った言葉は現実になった - 加藤順子

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