石巻競馬場 (水押)

石巻競馬場（水押）について

石巻競馬場（水押）は、1931年から1936年にかけて宮城県石巻市水押四丁目から開北一丁目付近に存在した地方競馬場です。この競馬場は、毎年春と秋に競馬を行っていましたが、1936年に陸軍演習地として買収されたことにより、実質的に競馬イベントが終了しました。

当時、石巻競馬場は大正期に存在した石巻競馬場（蛇田）や戦後の石巻競馬場（雲雀野）とは区別され、本稿では混乱を避けるため「石巻競馬場（水押）」と特記されています。また、ここで言う地方競馬は、1927年に設定され、1939年に失効した地方競馬規則に基づいて定義されたものであり、現在一般的に認識されている地方競馬とは異なります。

概要

宮城県の競馬場設置には上限があり、当時は愛子競馬場、仙台競馬場（長町）と共に、石巻競馬場（蛇田）が競馬開催の主要な場として機能していました。しかし、昭和4年頃に蛇田の競馬場が宮城電気鉄道の線路用地として買収されたため、その後の競馬開催には新しい競馬場の設置が求められました。

結果、宮城電鉄は石巻市水押三丁目付近の原野を借用し、石巻競馬場（水押）を建設することになりました。この競馬場は、一周1,200メートル、コース幅21メートルで、2,000人収容のスタンド、16頭を収容できる厩舎が2棟、さらに投票所や馬券売り場などの様々な施設が完備されていました。

所在

石巻競馬場（水押）の位置は、河北新報社が発行した昭和8年の石巻市街地図にも記載されています。その後の平面図からも確認できるように、競馬場は北上川の南岸に、野球場の東側に位置していました。

開催の様子

石巻競馬場（水押）は、昭和6年の5月16日に完成し、当日は午前8時から落成式と馬場の開きが行われました。この競馬場への期待が寄せられ、地元の商工会は宇宮市街からのアクセス道路の整備や、宮城電鉄による交通運賃の割引など、見物客を呼ぶための努力が続けられました。開業初日は悪天候で延期となりましたが、翌日の開催には多くの観客が詰めかけ、競馬場はすぐに満員となり、3日間の開催を通じて30,000人もの動員があったとのことです。

初日の天候が悪いながらも、観客があふれかえり、行楽地としての盛況を見せました。しかしながら、逆に不景気の影響で場内の売店はあまり売上が良くなかったという皮肉もありました。競馬場の盛況と対照的に、観客たちは多くの場合、弁当を持参して競馬を楽しんでいたのです。

その後の開催

石巻競馬場（水押）の次回の開催は同年10月に行われ、初日には午前8時から午後5時10分までの長丁場で、馬券の売上も約5000円を記録しました。二日目も堅実な動員を見せ、収益は4300円に達しました。競馬場は石巻市にとって重要な娯楽の一つであり、その後も地元経済に寄与していったことが伺えます。

この石巻競馬場（水押）は、現在はその跡地に他の施設が存在するため、形を変えてその雰囲気を感じることはできませんが、当時の熱気や盛り上がりは地元の伝説として語り継がれています。

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