石本巳四雄

石本巳四雄 — 日本の地震学の先駆者

石本巳四雄（いしもと みしお）は、1893年に東京小石川で誕生し、1940年にその生涯を閉じた日本の地震学者です。彼はシリカ傾斜計や加速度地震計の発明により、日本の地震研究において重要な位置を占めました。

経歴

石本は、陸軍中将の四男として生まれ、東京高等師範学校付属中学校や第一高等学校を経て、1917年に東京帝国大学の理科大学実験物理学科を卒業しました。卒業後は工科大学造船学科に就職し、1919年には三菱造船研究所に勤務します。1921年から1924年にかけてはフランスに留学し、ポール・ランジュバンの指導を受けました。

帰国後の1925年、東京帝国大学の助[[教授]]として地震研究所に赴任し、シリカ傾斜計や加速度地震計を考案します。このような地震計測器の発明は、地震の原因を研究する際に重要な役割を果たし、石本は岩漿貫入地震説を提唱しました。1928年には教授に昇進し、1933年には地震研究所の第2代所長となりました。また、地震計測に関する業績が評価され、同年に帝国学士院賞を受賞しています。

その後も石本は地震計測機器の発展に寄与し、1948年には中央気象台の地震観測所でシリカ傾斜計の使用が始まりました。加速度地震計は、発明から約80年後も「石本式加速度計」として利用されています。

人物

石本は音楽や絵画、謡曲、俳諧、禅、水泳など多岐にわたる趣味を持ち、特に水泳に情熱を注いでいました。少年時代には水泳選手としての経験があり、明治神宮水泳場の建設委員や東京小学校水泳連盟の会長を務めるなど、日本水泳界の基盤作りにも貢献しました。

また、地震研究所にいた期間中には、災害や温泉に関するかわら版や鯰絵の収集を行い、これらは彼の死後、地震研究所と東京大学の図書館に寄贈されました。さらに、研究者としては欧米の研究に目を向けることが重要であるとしつつも、それに盲目的に従うことを戒めていました。

主な著書と研究

石本は地震学に関する多くの著作物を残しています。代表的な著書としては『地震現象より見たる地殻変動』(1931年)、『地震と其の研究』(1935年)などがあります。他にも音響学に関連した著作や論文もあり、特に音響工学の分野でも活動していました。

石本の業績は日本の地震学の発展に大きく寄与し、彼の理論や発明は今もなお研究の基礎として活用されています。彼の死後、高等官一等への昇叙や正四位勲三等瑞宝章が授与されるなど、その功績は高く評価されています。

親族と遺産

石本の家族は実業家や軍の高官など多才なメンバーで構成されており、彼の学問の伝統を引き継ぐ人々も多数います。彼の業績やコレクションは、今なお後の世代の研究者や学生たちに影響を与え続けています。

地震学の領域における石本巳四雄の存在は、単なる研究者にとどまらず、教育者としての役割や地域社会への貢献を通じて多方面にわたる影響を与え続けており、彼の名前は日本の科学史に刻まれています。

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