高等官

高等官の概要

高等官（こうとうかん）は、1886年に日本の官吏の分類として創設され、1946年まで存在していました。この制度は明治憲法下で運用され、判任官の上位に位置付けられた官吏の一形態です。以下では高等官についての歴史的変遷やその役割について詳しく見ていきます。

高等官の導入と沿革

高等官は1886年3月に制定された「高等官官等俸給令」によって初めて公式に定義されました。それ以前は太政官制の下で勅任官、奏任官、判任官の官等が混在していましたが、高等官が設けられたことで、官等の明確な区分がなされました。

高等官は、勅任官および奏任官に分かれ、さらに勅任官は親任式によって昇進する官と、それ以外の官に分類されました。この制度の導入により、高等官の俸給に関しても年俸制が採用され、官職ごとに明確な基準が設けられました。

高等官の役職とその特徴

高等官は親任官、勅任官、奏任官の三つの階級に分かれており、それぞれに任用の方法や権限が異なります。特に親任官は天皇によって直接任命されるため、その地位は特別扱いされました。具体的には、内閣総理大臣や大使などが該当し、これらの官職を持つ者は国家運営において非常に重要な役割を果たしました。

勅任官

勅任官は親任官以外の高等官を指し、内閣総理大臣の記名によって任命されました。これには内閣書記官長や各省の次官などが含まれ、階級ごとに異なる俸給が支給されました。

奏任官

奏任官は高等官の中でもさらに下位に位置し、三等から九等まで分けられました。これらは内閣総理大臣または主任大臣を通じて任命される形式を取ります。

任用制度の変化

1889年の大日本帝国憲法の発布以降、高等官の任用方法も改訂されました。各省大臣が所部の官吏を統督し、奏任官以上の採用や離職は閣議を経る必要があり、行政の透明性が図られました。さらに1891年には高等官任命及び俸給令が制定され、従前の制度が見直されました。

高等官の日常と特権

高等官としての地位は、大きな特権とともに、厚い身分保障が伴いました。高等官と判任官との間には給与に関する違いがあり、年俸を受け取る高等官には特別な食堂が用意され、また、階級に応じた机や椅子のサイズにも差がありました。これによって高等官は社会においても特別な地位を持つことが強調されました。

最後の高等官制度

戦後、1946年に高等官官等俸給令が廃止され、高等官制度は終焉を迎えました。その結果、高等官は一級または二級の官吏に改められ、官吏の身分を国全体の公務員制度の一部として再編成されました。

まとめ

高等官制度は、日本の官僚制度の中で非常に重要な役割を果たし、様々な歴史的な変遷を経て今日の公務員制度の基盤を形成しました。その制度の背後には、明治から昭和にかけての日本の政治と社会の変化が色濃く映し出されています。

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