石森延男

石森延男（いしもり のぶお）

石森延男は、1897年6月16日に北海道札幌市で生まれ、1987年8月14日に90歳で亡くなった日本の名児童文学者であり、国語教育学者である。彼は、詩作や教科書編集に従事しながら、数々の優れた児童文学作品を世に送り出した。彼の活躍が光るのは、特に戦後の日本において、児童文学が重要視される中でのその影響力だ。

出生と教育

石森延男は、歌人で「われらが愛する北海道」の作詞者である石森和男の長男として生まれた。彼の出身地には、現在も生誕の碑が存在している。東京高等師範学校に進学し、国語国文科で学ぶ中で詩作や口演童話に関心を持ち始めた。1923年に卒業後、愛知県や香川県で中学校の教師を務めながら、教育現場での実体験を基に、後の文学活動に役立てている。

文学活動と受賞歴

1926年からは大連の南満洲教育会の教科書編集部に勤務し、小学校向けの副読本の改訂に取り組む中で、児童文学創作を本格化させた。1939年には、日中戦争の影響を受けた内容の長編小説『咲きだす少年群』を発表し、これにより第3回新潮社文芸賞を受賞した。この作品は、当時の満州国を背景にしたものであり、戦争の厳しい現実を子供の視点から描写している。

戦後も、彼の活動は続き、1957年には北海道のアイヌを主人公にした作品『コタンの口笛』を発表。これは大ヒットを記録し、第1回未明文学賞と第5回産経児童出版文化賞を受賞することとなった。また、1962年には『バンのみやげ話』が第1回野間児童文芸賞を受賞し、その後も数多くの受賞歴がある。彼の作品の中には、映画化されたものもあり、『コタンの口笛』も成瀬巳喜男監督によって1959年に映画化された。

教育者としての貢献

石森延男は、昭和女子大学で教授として教鞭をとり、国語教科書の作成にも携わるなど、教育現場にも大きな影響を与えた。また、1962年に日本児童文学学会を設立し、初代会長として活動したことは、彼の教育者としての功績を物語っている。1971年には、彼自身の児童文学作品を集めた「石森延男児童文学全集」が刊行され、1977年には小学校向けの選集も発表された。

逝去と後の影響

1987年に逝去した後も、石森延男の作品や教育活動は子どもたちに多くの影響を与え続けている。彼の業績を称えるために、札幌市内には石森文学広場が設立され、彼の著作や教育に関する資料は北海道立文学館に収められている。彼の著作の数々は、いずれも日本の児童文学の宝庫として、今もなお広く読まれ続けている。

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