石灯籠切虎徹

石灯籠切虎徹とは

石灯籠切虎徹（いしとうろうきりこてつ）は、江戸時代の著名な刀工・長曽祢興里によって作られた日本刀の一振りです。この刀は「燈篭切虎徹」との別名も持ち、特にその独自の形状と伝説により、刀剣の中でも特に高い評価を受けています。

刀工とその由来

石灯籠切虎徹の名前には興味深い由来があります。伝説によれば、刀の注文主である旗本は、切れ味を試すために松の枝を切ろうとしました。しかし、その際、力を入れすぎて近くにあった石灯籠をも切り裂いてしまったと言われています。この出来事こそが「石灯籠切」という名称の由来です。

刀の作成時期

刀の作成時期については確実な年紀はありませんが、銘振りなどから寛文九年の秋頃または寛文十二年頃と推測されています。特にこの刀は、特別に無反りの形状に仕上げられており、その体配は他の作品とは明らかに異なります。これにより、長曽祢興里の作品の中でも際立った存在とされています。

刀の特徴

石灯籠切虎徹は、刃長約64.4センチメートルで、直刀として知られていますが、無反りである点が特徴的です。地鉄は細かく美しく、鋭い刃文が交じり合っています。このように、その形状や鋭さが際立っており、江戸時代の武士によって高く評価されていました。特に、刀の切れ味に関する逸話が多く残っており、その中には刀工としての誇りや情熱を感じさせる逸話が詰まっています。

流通と保管の歴史

この名刀は、昭和10年（1935年）には高島屋名刀展覧会に出展され、所持者は細川利文子爵であったとされています。その後も何度か展示され、昭和18年には軍刀展覧会にも登場しました。しかし、戦後は流通の記録が途絶え、所有者は不明になっていた時期もあります。しかし、2021年には都内の刀剣店から特別展に出展されたことが確認され、現在は日本美術刀剣保存協会によって特別保存刀剣として認定されています。

刀に関する逸話

いくつかの刀剣書籍には、石灯籠切虎徹にまつわる様々な逸話が記されています。たとえば、刀を製作した際に刀工が出した価格をめぐって旗本とやり取りがあり、その際に刀工が松の枝を切ろうとした理由は、刀工の自負心からくるものだったとされています。また、石灯籠を斬ったエピソードは、虎徹の優れた切れ味を象徴するものとして多くの書籍に取り上げられています。

現在の評価

石灯籠切虎徹はそのユニークな外観や切れ味から、今日でも非常に高い評価を受けています。多くの刀剣愛好家や研究者によって、その素晴らしさが語り継がれており、日本の文化遺産としての位置を確立しています。刀剣の歴史や美術を学ぶ中で、この名刀の存在は欠かせないものとなっており、古くからの日本刀に対する敬意を感じる上でも興味深い対象と言えるでしょう。

もう一度検索