石璞 (明)

石璞（せきはく）は、生年不詳ながら明代に活躍した官僚で、字を仲玉と称しました。彼の本貫は彰徳府臨漳県にありました。

初期の官歴と地方での活動

1411年（永楽9年）、石璞は郷挙によって国学に入り、官僚としての第一歩を踏み出しました。その後、監察御史に任じられ、1412年（永楽10年）には四川按察使として地方に赴任しました。1436年（正統元年）には江西按察使に転じましたが、1438年（正統3年）に囚人を逃した責任を問われ、江西按察副使に降格されるという挫折も経験しました。しかし、1442年（正統7年）には山西布政使に任命され、再び地方官として活躍しました。

工部尚書への昇進と反乱への対応

1448年（正統13年）5月、石璞は工部尚書に任命されました。これは、当時権勢を振るっていた太監の王振と親しかったことが影響したとされています。その翌年の1449年（正統14年）には、処州で葉宗留が反乱を起こすと、石璞は総兵官の徐恭らと共に鎮圧に派遣されました。しかし、反乱軍は既に内部で分裂し、葉宗留は部下に殺害されていたため、石璞らの討伐は空振りに終わりました。責任を問われた石璞は、軍を撤退させ、朝廷に報告することになりました。

大理寺卿と失脚、そして復帰

景泰帝が即位すると、石璞は北京に召還され、大理寺卿を兼任しました。しかし、1450年（景泰元年）11月、宦官の金英が収賄罪で投獄されると、石璞も過去に金英に賄賂を贈っていたとして弾劾され、投獄されました。一時は斬刑が宣告されましたが、特別に赦免され、大同で軍の食糧輸送を監督することになりました。その後、1451年（景泰2年）には総督宣府軍務を命じられ、1452年（景泰3年）には太子太保の位を加えられ、二官分の俸給を受けるまでになりました。

黄河の治水事業

石璞は、黄河の治水事業にも大きな貢献をしました。黄河が沙湾で決壊した際、石璞は修復を命じられ、決壊箇所を塞ぐ前に河道を浚渫し、黒洋山から徐州まで舟が通れるようにしました。その後、決壊箇所を修復し、1453年（景泰4年）には再び決壊した黄河の修復にもあたりました。1454年（景泰5年）には母の死去により帰郷しましたが、喪に服す間もなく工部に戻り、職務に励みました。

兵部尚書と晩年

1455年（景泰6年）1月、石璞は兵部尚書に転じ、于謙と共に兵部の事務を共同で担当しました。1456年（景泰7年）には、湖広で苗族の反乱が起こると、総督軍務を命じられ、南和伯方瑛と共に反乱鎮圧に当たり、1457年（天順元年）には勝利を朝廷に報告しました。しかし、同年6月には北京に召還され、致仕を命じられました。1460年（天順4年）には、李賢の推薦により南京左都御史に任じられましたが、この時すでに老齢で耳が聞こえなくなっており、職務を十分にこなすことができませんでした。1463年（天順7年）には、錦衣衛指揮僉事の門達に弾劾されて罷免され、故郷に戻りました。そして、1469年（成化5年）に生涯を閉じました。

石璞は、明代の官僚として様々な役職を歴任し、地方行政や軍事、治水事業など多岐にわたる分野で活躍しました。彼の生涯は、官僚としての栄光と挫折、そして晩年の苦労が織り交ざったものでした。

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