石碑

石碑とは

石碑（せきひ）とは、人類が特定の目的を持って、文字や絵などの銘文を刻み、建立した石造物の総称です。日本では「碑（いしぶみ）」とも呼ばれます。石碑は、墓石のように他の目的を持つものではなく、銘文を刻むこと自体が目的です。ただし、英語の「stele」という言葉は、木製のものや墓碑を含む場合もあります。

記念として建てられたものは「記念碑」、和歌や歌謡曲の歌詞を刻んだものは「歌碑」、俳句を刻んだものは「句碑」、詩を刻んだものは「詩碑」とそれぞれ呼ばれます。

石碑の種類と特徴

石そのものが彫刻になっている場合は「石彫」と区別されます。また、岩絵が刻まれているものは「石碑」とは呼ばれません。石碑として認められるのは、文字が刻まれ、一時的にでも建立された、または建立する意図が明確なものです。

形状は、縦長で表面が平坦な石が使われることが多いですが、自然石をそのまま利用する場合もあります。

石碑は、王朝の起源、伝説、王の業績といった歴史的な出来事を記録し、権力者の権威を示すプロパガンダとして利用されることがありました。そのため、権力者が倒れると、石碑が倒されたり、銘文が削られたり、破壊されることも少なくありませんでした。マヤ文明の都市に建てられた石碑はその良い例です。新たな権力者は、自身の正当性を主張するために石碑を建立しました。

石碑は、必ずしも輝かしい事績だけを伝えるものではありません。慰霊碑や災害記念碑のように、悲劇的な出来事を後世への戒めとして伝えるために建てられることもあります。

各地域における石碑

中国

中国では、方形板状のものを「碑」、円形のものを「碣」といい、これらを合わせて「碑碣」と呼びます。起源には諸説あり、犠牲を繋ぐための柱や、棺を墓穴に降ろすための柱などが考えられています。碑は後漢時代の中頃から普及し、初期には碑の上部に「穿」という穴があり、碑首には「暈」という虹形の溝がありました。その後、「穿」や「暈」がなくなり、「亀趺」という亀の形をした台座と、「螭首」という竜のような想像上の動物を碑の頭部に彫刻することが定型となりました。この形式は、中国の影響を受けた朝鮮半島にも見られます。

「漢碑」と呼ばれるほど、漢代には多くの名碑が建てられました。漢代の石碑は、秦代の小篆体の刻石を基に、隷書を正書体化する過程で発展したものです。碑は「趺」と呼ばれる土台の上に「碑身」が載せられ、碑身の上部には現在の額の起源となる「題額」があります。

インドネシア

インドネシアの古代王国では、「プラサスティ（prasasti）」と呼ばれる記念碑が建てられました。これは、王の詔勅を石に刻む古代インドネシアの習慣によるもので、東南アジア史の研究書では「刻文」と訳されることもあります。プラサスティには様々な形態があり、楕円形の自然石が使われたり、犠牲として捧げる動物を結びつける杭として使われた「ユパ（yupa）」と呼ばれるものもありました。特に、5世紀に東カリマンタンで栄えたクタイ王国の王、ムーラヴァルマンが使ったユパが有名です。

南北アメリカ

南北アメリカでも、古代文明によって石碑が建てられました。マヤ文明の石碑は特に有名で、王の業績や歴史的な出来事を記録するために用いられました。

関連事項

石碑に関連する事項として、以下のようなものがあります。

石碑の画像一覧
日本三古碑
ルーン石碑
河光石
板碑
慰霊碑
災害記念碑
クロノグラム

参考情報

全国一茶の碑巡礼
いしぶみGOZAN

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