石神兼文

石神 兼文（いしがみ かねふみ）は、1916年8月11日に生まれ、2011年4月27日に逝去した日本の高名な法学者です。専門は民法、とりわけ財産法分野において顕著な業績を残しました。鹿児島大学においては、教員として長年教壇に立ち、後に第6代学長を務め、退職後は名誉教授の称号が贈られました。

石神氏は鹿児島県の現・日置市東市来町長里で生を受けました。旧制伊集院中学校を経て、1935年3月に旧制第七高等学校造士館文科甲類を卒業。東京帝国大学法学部政治学科を1940年3月に卒業後、大日本航空に入社しますが、翌1941年3月には軍に入隊し休職を余儀なくされます。終戦後の1946年3月に復員を果たしました。

戦後の教育再開に尽力し、1947年10月から1950年10月まで、旧制鹿児島県立第二鹿児島中学校および学制改革により発足した鹿児島県甲南高等学校にて教諭として勤務。この期間、社会科の一般社会の授業を担当しました。

1950年10月からは、鹿児島大学文理学部の助手として大学でのキャリアをスタートさせます。その後、1954年2月には同学部の講師、1956年3月には助教授へと昇任しました。1960年4月には文理学部の分離再編に伴い、法文学部の助教授となり、1962年4月には教授に昇任しました。法文学部では、1973年4月から1979年3月まで学部長を務め、学部運営の中心的な役割を担いました。また、1979年4月に設置された鹿児島大学大学院法学研究科の教育・研究にも携わり、長年にわたり鹿児島県の法曹界に数多くの有為な人材を輩出することに貢献しました。

1981年1月には、鹿児島大学の学長に就任しました。1985年1月には再任され、学長として大学の発展に尽力。特に、人文社会系の教育・研究体制の強化、大学院組織の整備拡充、そして1986年開学の鹿児島大学医療技術短期大学部の開設準備に力を注ぎました。1985年10月からは、この医療技術短期大学部の学長も兼任しています。

1987年1月に鹿児島大学学長の任期満了に伴い退職し、鹿児島大学名誉教授となりました。大学での活動の傍ら、鹿児島県選挙管理委員長や、県青年海外協力隊を支援する会の会長なども務め、地域社会や国際協力にも貢献しました。南日本新聞社で専務を務めた石神兼康氏は実弟にあたります。

これらの長年の功績が認められ、1988年には勲二等旭日重光章を受章しています。

石神兼文氏は、法学者としての深い学識と、教育者・大学運営者としての手腕により、鹿児島大学および地域社会に大きな足跡を残しました。特に民法学の発展と後進の育成に貢献し、その功績は高く評価されています。

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