石窟庵

石窟庵の概要

石窟庵（ソックラム）は、韓国・慶尚北道慶州市にある重要な仏教遺跡です。吐含山の麓に位置し、元々は「石仏寺」と呼ばれていましたが、その後の修復や再発見を経て、現在の名前が広まりました。1962年には国宝第24号に指定され、1995年には石窟庵とその近隣の仏国寺が「石窟庵と仏国寺」として世界遺産に登録されました。

歴史的背景

石窟庵は新羅時代の金大城が、自らの両親のために建立した「石仏社」が起源であると伝えられています。751年に建立が始まり、774年に完成しました。しかし、1392年以降の儒教を中心とした朝鮮時代には、仏教が抑圧され、石窟庵は忘れ去られてしまいました。後の朝鮮後期には補修の記録が残っていますが、廃寺となった仏国寺の影響で石窟庵も放置されることとなりました。

再発見と修復

1909年、偶然の豪雨により郵便配達員が洞窟に逃れた際、石窟庵の仏像を発見しました。この時、石窟庵は崩壊の危機にあり、内部は大きな損傷を受けていました。崩れ落ちた天井から雨が直接仏像にかかり、多くの仏像が土に埋もれていたため、日本統治時代の1913年から1915年にかけて大規模な修復が行われました。この修復では、当時の先端技術としてセメントが使用されました。

現代の修復

その後、韓国では1961年から1963年にかけて文化財管理局が主導で再度の補修が進められました。この際、湿度対策として石窟の後部はセメントで塞がれ、ガラス張りの覆いが設けられましたが、内部の環境に悪影響を及ぼすことが指摘されました。また、日本の修復時に行われた仏像の配置についても争点があり、韓国側の新たな配置が再考された結果、最終的には初期の配置が正しかったことが判明しましたが、いまだ、この配置の復元は進んでいません。

現在の状況

現在の石窟庵の入口はガラス板で閉ざされており、一般の人々は前室からガラス越しにその様子を見学する形となっています。石窟周辺には、配置が不明になった石材が展示されています。また、韓国では「本尊となる仏像が2体あり、1体は日本に盗まれた」との誤解が広まっていましたが、研究により初めから1体のみであったことが明らかになりました。

社会的背景と議論

2019年には、韓国のテレビ番組で「石窟庵は完璧に保存されていたが、日本が傷つけた」とする虚偽の主張が流されました。このような情報が広がることで、韓国社会における日本に対する感情が影響を受けることがあります。講師や放送局による訂正は行われていないため、これが国民の誤解を perpetuate（強化）する一因となっています。オピニオンリーダーたちからは、こうした現象が国民の教育や情報リテラシーに悪影響を与えているとの批判も上がっています。

石窟庵はその文化的価値と歴史的背景から、現在でも多くの人々にとって重要な遺跡として位置付けられています。しかし、歴史の解釈や遺跡の保存に関する議論が続いている現状においては、より多角的な視点での理解が求められように思われます。

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