吐含山

吐含山（トハムサン）

吐含山は、大韓民国慶尚北道慶州市に位置する745メートルの高い山で、慶州市の最高峰です。この山は新羅時代においては五嶽の一つ、特に東嶽として神聖視されてきました。歴史的な仏国寺や石窟庵がこの地に建立され、その存在は今日でも多くの訪問者を惹きつけています。現在、吐含山は慶州国立公園の一部として重要な観光地となっており、その美しい風景と共に多くの人々に愛されています。

名称の由来

吐含山の名前には二、三の説があります。一つは、脱解尼師今と言われる新羅第4代王に由来し、彼が新羅に到着した際に最初に上った山がこの吐含山であるとされています。脱解王は死後、吐含山の神となったと伝えられます。

もう一つの説は、山が霧や雲を呑み込み、それを吐き出す様子から名付けられたというものです。東海側の気象変化の激しさを表現したものとも考えられています。

地形と風景

吐含山は太白山脈の一部であり、海岸線近くに広がる連続した丘陵地帯に位置します。山は北から南へ流れる洛東正脈の南側に位置しており、その地帯には兄南岐脈と呼ばれる山脈が走っています。山の西側には仏国寺を囲む扇状の地形が広がり、北側には楸嶺、南側には東山嶺があります。慶州市から甘浦に至る国道第4号線は、四季折々の美しい景色を楽しみながら通ることができます。

さらに、仏国寺から山頂まで続く自動車道路も整備されており、自然の美しさを堪能できます。史上重要な都市であった慶州市の最高峰として、吐含山は軍事的にも重要な役割を果たし、護国の山として神聖視されています。

自然環境と生物多様性

吐含山の地質は中生代の白亜紀に由来するもので、仏国寺で使われた花崗岩が主成分です。この地域の基盤岩は、大邱層として知られ、白亜紀の堆積岩類が特に多いです。さらに、地域内では多様な植物が自生し、703種もの植物が確認されています。吐含山の周辺には、特に松林が広がっており、樹齢100年を超える木々が見受けられます。また、ここは韓国国内でも有数の黄土が分布する地域で、ゼオライトを多く含んでいることから、この山が霧を呑み込み吐き出す特徴的な現象が観察されます。

歴史的遺産

新羅時代には五嶽の一つとしての地位を持ち、宗教的な意義を持つ聖山とされてきました。吐含山は多くの仏教遺跡や文化財に恵まれており、多くの国宝が存在します。山中には古刹である仏国寺と、山頂にある石窟庵があり、これらはいずれもユネスコの世界遺産として登録されています。

仏国寺は540年に創建され、釈迦塔や多宝塔など国宝に指定された建物が存在します。特に石窟庵からは、朝日や月の出を楽しむことができ、美しいビューや自然の景観が特徴的です。ここでは初日の出を見に人々が集まり、特別な行事として人気を集めています。さらに、山中には神聖火の採火地もあり、国家行事の際には重要な役割を果たしています。

このように吐含山は、その自然景観、文化的遺産、歴史的意義から、訪れる人々にとって特別な場所となっています。

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