石部宿

石部宿の歴史と魅力

石部宿（いしべしゅく）は、近江国甲賀郡に位置し、東海道五十三次の51番目の宿場でした。現在の滋賀県湖南市にあたるこの場所は、古くから交通の要所とされており、多くの旅人が行き交った場所でもあります。特に、京都を出発してから1日の距離に所在し、当時は「京立ち石部泊り」と呼ばれていました。

宿場内には当初、本陣が2軒（小島本陣と三大寺本陣）、さらに32軒の旅籠を含む458軒の建物が、約1.6キロメートルにわたって両脇に立ち並んでいました（1843年の記録）。また、宿役人の詰める問屋場や高札場があり、宿場の中心的な役割を果たしていました。しかしながら、近年の保存活動が少なかったため、古い宿場町の風情や街並みがほとんど失われてしまっています。

石部宿の歴史は、1571年（元亀2年）の織田信長の治下において、5つの村が合併して「石部町」が形成されたことに始まると言われます。また、豊臣秀吉の1647年（慶長2年）には信濃善光寺の物資輸送に関与したことも宿場の成立に影響を与えたと考えられており、1601年には東海道各宿に朱印状が発行され、伝馬徴発の定書が下付されました。結果として、1615年から1623年の記録に残る最初の宿場としての活動が確立されたとされています。

宿場の北側には、江戸方面へ進む際の立場があり、現在の湖南市夏見には藤棚が見られます。ここは、ところてんに黒蜜をかけるスタイルの発祥地とも言われており、地元の名物料理の一つになっています。また、歌川広重が描いた「東海道五十三次」に登場する「目川の里」は、実際には石部宿より草津宿に近い地域にあたります。

石部宿の最寄り駅は、JR西日本草津線の石部駅です。この駅からのアクセスは、観光や訪問に非常に便利です。

史跡と見どころ

小島本陣跡

小島本陣は、明治天皇が宿泊した場所で、その跡地には訪問者が目にすることができる看板が立っています。この本陣は、石部宿の重要な役割を物語るものです。

東海道石部宿歴史民俗資料館

この資料館は、石部宿に関連する歴史的な資料が展示されています。小島本陣に関わる資料や、1/20の復元模型なども展示されており、宿場の歴史に触れることができる貴重な場所です。

石部宿場の里

街道から離れたところに位置するこの施設では、旅籠や商家、農家、茶屋などの建物が再現され、当時の道具類も展示されています。訪れることで、宿場の雰囲気を感じ取ることができ、貴重な体験となるでしょう。

歴史に名を刻んだ人々

石部宿は、多くの著名人が訪れた歴史があります。江戸幕府の第14代征夷大将軍である徳川家茂や、最後の征夷大将軍の一橋慶喜、新撰組局長の近藤勇が宿泊したと記録されています。これにより石部宿は、単なる宿場にとどまらない歴史的な重要性を秘めた場所となっています。

近隣の宿

水口宿と草津宿が近くに位置し、これらの宿場との連携により、石部宿は東海道の重要な一部としての役割を果たしてきました。石部宿を訪れる際には、周辺の宿場も併せて楽しむことをお勧めします。

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