砂撒き装置

砂撒き装置

砂撒き装置は、鉄道車両が上り勾配や落ち葉などで車輪が空転し、牽引力を失うのを防ぐために、砂を車輪とレールの間に撒くことで摩擦力を増加させる装置です。鉄道の創始以来使用されており、蒸気機関車をはじめ、動軸に大きな出力を与える機関車に多く搭載されています。

概要

動力分散式の電車や気動車では、動軸1軸あたりの出力が小さいため、砂撒き装置の搭載例は少ないですが、急勾配区間を走行する車両など、条件によっては搭載されています。

装置の構造は単純で、砂箱に乾燥した砂を入れ、パイプを通して動輪付近のレール上に重力で砂を落とします。運転台のコックやペダルで操作します。インドなどでは、砂の入った箱を持った係員が手で砂を撒く方法も見られます。日本でも、砂撒き装置がない電車では、乗務員が手作業で砂を撒くことがあります。

歴史

最初に搭載されたのは1830年代のアメリカで、バッタが大量発生し、線路の清掃が困難だったため、砂を撒くことで対処しました。

セラミック噴射装置

セラミック噴射装置は、砂撒き装置の改良型で、「増粘着材噴射装置」や「ミュージェット」とも呼ばれます。粘着材にセラミック（酸化アルミニウム）粒子を使用し、空気圧で高速かつ正確に噴射することで、粘着効果を向上させています。砂撒き装置と比較して、使用量や材料費が少なく、レールや車輪へのダメージも軽減されます。

新幹線では、500系、700系、800系、E5系、H5系に搭載されています。大手私鉄でも、東武50000系や京阪3000系などに搭載されています。

受験生の合格祈願として

鉄道会社が受験シーズンに「滑り止めの砂」として配布・販売することがありますが、2017年に砂から発がん性物質が検出されたため、中止する例が増えています。

各社の例

JR西日本 - 「すべり止めの砂」、「すべらない砂（さ）」、「すべらサンド」、「滑らサンド」
京阪電鉄 - 「勝利を砂ポート」
天竜浜名湖鉄道 - 「合格祈願キーホルダー」
能勢電鉄 - 「すべり止めの砂守り」
鹿児島市交通局 - 「すべらない砂」

関連項目

サンダイト
* 鉄道レールの空転要因

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