磐城太田駅

磐城太田駅

福島県南相馬市原町区の静かな一角、高（たか）字金井神に所在する磐城太田駅は、東日本旅客鉄道（JR東日本）常磐線に属する鉄道駅です。この駅の大きな特徴は、常磐線が経由する福島県の沿岸部地域を示す旧国名「磐城」を、駅名に冠する唯一の存在である点にあります。

歴史

磐城太田駅の歴史は、1898年（明治31年）5月11日に、当時の日本鉄道によって「高駅」として開業したことに始まります。そのわずか半年後、同年12月1日には現在の「磐城太田駅」へと改称されました。日本鉄道が国有化された1906年（明治39年）11月1日以降は、官設鉄道の駅となり、1909年（明治42年）10月12日には線路名称の制定に伴い、常磐線の所属駅となりました。1949年（昭和24年）6月1日には日本国有鉄道が発足し、その管理下に置かれます。

昭和に入ると、鉄道貨物輸送や手荷物取扱いの変遷が見られました。1972年（昭和47年）10月2日に貨物取扱が廃止され、続いて1975年（昭和50年）10月1日には荷物の扱いも終了しました。これにより、旅客営業のみを行う駅となります。1977年（昭和52年）3月1日には駅員が配置されない無人駅となり、駅前の商店による簡易委託が行われる形となりました。1987年（昭和62年）4月1日、国鉄分割民営化という大きな転換期を経て、磐城太田駅はJR東日本の管轄となりましたが、その後の1993年（平成5年）には簡易委託も終了し、完全に無人駅化されました。駅舎についても、1999年（平成11年）3月に従来の木造平屋建ての建物が新しいものに建て替えられています。

2011年（平成23年）3月11日に発生した東日本大震災とその後の福島第一原子力発電所事故は、磐城太田駅にも甚大な影響を及ぼしました。常磐線の営業が休止され、長期間にわたりその機能を停止せざるを得ませんでした。しかし、復興に向けた努力が続けられ、2016年（平成28年）7月12日に小高駅と原ノ町駅間の運転が再開されたことに伴い、磐城太田駅も営業を再開しました。

近年では、サービス向上に向けた動きも見られます。2020年（令和2年）3月14日には仙台近郊区間に編入され、ICカード「Suica」が利用できるようになりました。さらに、2024年（令和6年）10月1日からは、「えきねっとQチケ」のサービスも導入されています。

駅構造

磐城太田駅は、地上に設置された相対式ホーム2面2線を持つ駅です。それぞれのホームは跨線橋によって連絡されており、利用者はこれを利用して行き来します。現在は原ノ町統括センター（原ノ町駅）が管理する無人駅となっており、駅舎内には乗車駅証明書発行機と簡易Suica改札機が設置されています。

かつて、この駅では超大編成の特急列車や急行列車、あるいは貨物列車が行き違いを行うことがありました。そのため、現在もホームの有効長は比較的長く確保されています。

利用状況

福島県が発行する「福島県統計年鑑」には、2000年度（平成12年度）から2004年度（平成16年度）にかけての1日平均乗車人員の統計が記録されています。

駅周辺

駅の西側には比較的小規模ながら民家の集落が見られます。一方、東側には広大な田園風景が広がっており、のどかな環境です。この地域は、東日本大震災後の2011年（平成23年）から2012年（平成24年）4月までの間、福島第一原子力発電所事故に伴う警戒区域の境界線上という厳しい状況に置かれていました。2012年（平成24年）4月以降は避難指示解除準備区域（宿泊は認められないものの自由な立ち入りが可能）に移行し、2016年（平成28年）7月には避難指示が解除されています。

駅周辺には、磐城太田駅へと続く福島県道169号磐城太田停車場線や、福島県道261号大甕磐城太田停車場線といった主要な道路が通っています。また、生活関連施設として磐城太田郵便局があり、地域を見守る多珂神社も近隣に鎮座しています。

隣の駅

JR東日本 常磐線における磐城太田駅の隣駅は以下の通りです。

小高駅 - 磐城太田駅 - 原ノ町駅

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