磯貝碧蹄館

磯貝碧蹄館（いそがい へきていかん）

1924年3月19日、東京に生まれた磯貝碧蹄館は、俳人、そして書家としてその名を広く知られています。本名を甚吉といい、豊南商業学校（現在の豊南高等学校）を中退後、川柳や自由律俳句の世界を経て、1954年に俳人・中村草田男に師事しました。

俳人としての歩み

師事から6年後の1960年、句集『与へられたる現在に』で角川俳句賞を受賞。1966年には『握手』で俳人協会賞を受賞するなど、その才能は早くから高く評価されていました。1974年には自ら俳誌「握手」を創刊し、主宰として後進の指導にもあたりました。2004年には句集『馬頭琴』で雪梁舎俳句大賞特別賞を受賞し、その卓越した俳句の世界を世に示しました。

作風と特徴

磯貝碧蹄館の俳句は、日常の何気ない瞬間や、心象風景を独自の視点で捉え、独特の言葉で表現しているのが特徴です。写生にとどまらず、内面から湧き上がる感情や、思想を句に込め、読者の心を揺さぶります。その句風は、伝統的な俳句の形式にとらわれず、自由な発想と、革新的な表現に溢れており、現代俳句の世界に大きな影響を与えました。

書家としての活動

書家としては、金子鷗亭に師事し、書道の世界でもその才能を発揮しました。創玄展では審査員を務めるなど、俳句だけでなく、書の世界でも高い評価を受けていたことがわかります。

その他の活動と晩年

磯貝碧蹄館は、俳句の指導にも熱心で、多くの入門書や解説書を執筆しました。俳句の基礎知識から、実践的な作句教室まで、その内容は多岐にわたり、俳句の世界を広げる上で大きな貢献をしました。著書には『俳句の基礎知識 技法と鑑賞』、『俳句の心・実践的作句教室』などがあります。

2013年3月24日、肺癌のため89歳でその生涯を閉じましたが、その作品は今もなお多くの人々に愛され、読み継がれています。

主な著書

句集『握手』遊墨舎 1966
『俳句の基礎知識 技法と鑑賞』雄山閣出版 1980
『磯貝碧蹄館集 自註現代俳句シリーズ』俳人協会1981
『俳句の心・実践的作句教室』雄山閣出版 1983
句集『花粉童子』角川書店 1986
句集『道化』角川書店 1993
『秀句誕生の鍵』雄山閣出版 1995
『俳句上達の10章』雄山閣出版 1995
句集『絶海』朝日新聞社 1998
『四季の俳句 秀句を書く』編著 雄山閣出版 1999
句集『眼奥』角川書店 2001
句集『馬頭琴』ふらんす堂 2003
句集『未哭微笑』文學の森 2007

参考資料

デジタル版日本人名大辞典

外部リンク

* 増殖する俳句歳時記-磯貝碧蹄館の句

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