中村草田男

中村草田男について

中村草田男（なかむら くさたお、1901年7月24日 - 1983年8月5日）は、著名な日本の俳人であり国文学者で、成蹊大学では名誉教授として知られています。彼の本名は中村清一郎で、中国のアモイに生まれました。東京帝国大学の国文学科を卒業し、高浜虚子に師事しながら、独自の俳句の世界を追求しました。

生い立ちと教育

草田男は、清国福建省の領事の長男として育ちましたが、1904年に母と共に愛媛県に帰国しました。その後、松山市や東京で教育を受け、松山中学では伊丹万作という先輩と親交を深め、さまざまな文学活動に参加しました。特に、高校時代に神経衰弱を経験し、哲学と宗教への探究が始まりました。1925年には東京帝国大学に進学し、文学と詩に目覚めました。

俳人としての発展

草田男は、「ホトトギス」に参画しながら、独自の句作を開始します。「客観写生」や「花鳥諷詠」のスタイルを学びつつも、ニーチェや西洋思想の影響を受け、生活や人間の本質に根ざした表現を模索しました。1931年には国文科に転じ、1933年に卒業。卒業後、成蹊学園で教師として教鞭を執り、文壇でも活動を広げました。

心の深い探求を行った結果、草田男は「人間探求派」として認識されるようになり、後の俳句界にも多くの影響を与えました。また、彼は「萬緑」を創刊し、終生にわたって主宰となりました。戦後には、第二芸術論争を通じて国文学の発展に貢献し、多くの俳句論争でも主導的な役割を果たしました。

作品と詩的スタイル

草田男の代表的な作品には、「蟾蜍（ひきがえる）長子家去る由もなし」や「降る雪や明治は遠くなりにけり」などがあります。彼は自らの句作において、西洋近代文学の思想性を取り入れながらも、日本の自然や人間性を深く表現することを試みました。

また、彼の句は時折難解であり、独自の語法を用いることから「難解派」と呼ばれることもありましたが、一貫して伝統的な俳句の枠内に留まろうとする姿勢が見受けられました。

私生活と晩年

私生活では、草田男は福田直子と結婚し、四人の娘に恵まれました。娘の一人は、お茶の水女子大学で教授を務めるなど、教育界でも活躍しています。1972年には紫綬褒章を受章し、1974年には勲三等瑞宝章を授与されるなど、その業績は評価されています。

草田男は1983年に82歳で亡くなり、その死の前日には洗礼を受けたことが知られています。彼の俳句や文学の業績は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。彼の忌日は「草田男忌」として記憶され、季語としても引用されています。

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