磯野員昌

磯野員昌の生涯と業績

磯野員昌（いその かずまさ）は、戦国時代の日本を生きた武将であり、浅井氏、そして後に織田氏の家臣として知られています。彼は大永3年（1523年）に京極氏家臣の子として生まれ、近江国佐和山城を拠点に活動しました。彼の生涯は、主に浅井氏配下時代と織田氏家臣時代に分けられます。

浅井氏家臣時代

磯野員昌の父・員宗は磯野氏一族から養子を迎え、佐和山城を本拠地としていました。家督を継いだ員昌は武勇に優れ、特に六角氏との戦いで数多くの武功を挙げました。彼は浅井軍団の先鋒を務め、名将として知られるようになります。特に元亀元年（1570年）の姉川の戦いでは、織田軍に果敢に斬り込み、一時は織田信長の本陣近くに迫るという偉業を成し遂げました。この戦いにおいて、彼の行動は「員昌の姉川十一段崩し」という逸話として今でも語り継がれています。

残念ながら、戦局は不利に進展し、織田軍の増援により浅井軍は敗北を喫します。この結果、員昌は織田氏と新たな関係を結ぶ道を選ばざるを得なくなりました。

織田氏家臣時代

姉川の戦いの結果、浅井氏の小谷城は危機に瀕し、佐和山城は孤立状態に陥ります。そのため、員昌は1571年に織田信長に降伏し、佐和山城を信長に引き渡しました。彼の降伏後、信長は彼に近江高島郡を与え、優遇されることとなります。この頃の彼は、他の有力武将たちと同等の地位を得ていたことが伺えます。

その後、員昌は多くの戦闘に従軍し、軍功を重ねます。しかし、次第に彼の権益は縮小し、家督の譲渡が行われるようになります。1576年には、信長の意に反して出奔する事態となり、その際、高島郡は津田信澄に与えられました。この背景には、信澄への家督譲渡の圧力があったとも言われています。

出奔とその後

天正6年（1578年）に出奔した員昌は、本能寺の変で信長や信澄が亡くなった後、高島郡に戻り、農業に専念しました。彼は天正18年（1590年）に68歳で亡くなります。死後もその家族は存続し、子の行信は石田三成に仕官。さらに孫の行尚は、大坂の陣で藤堂軍に参加し、その名を轟かせました。また、娘は小堀正次に嫁ぎ、有名な茶人を生むなど、彼の家系は武将としての名声を引き継いでいきます。

磯野員昌の生涯は、戦国時代の動乱の中で誠実に武士として仕え続けた姿勢の象徴でもあり、彼の武功や家族の築いた名声は今に伝わるものとなっています。

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