礦業所前駅

礦業所前駅（こうぎょうしょまええき）は、かつて北海道夕張市平和に存在した夕張鉄道線の駅（廃駅）です。地域の基幹産業であった石炭鉱業に関連する駅として開設され、後に一般旅客営業も行っていましたが、夕張鉄道線の旅客輸送縮小に伴い、1971年（昭和46年）にその役割を終えました。

この駅は、1952年（昭和27年）4月25日に、近隣にあった北炭平和炭鉱の坑内員が通勤のために利用する専用駅として営業を開始したのがその始まりです。炭鉱で働く人々の送迎という、限られた目的に特化した駅でした。その後、1962年（昭和37年）8月1日からは、一般の地域住民や訪問者も利用できる通常の旅客駅として営業範囲を広げました。

しかし、1970年代に入ると、エネルギー政策の転換などにより日本の石炭産業は衰退の一途をたどり、夕張地域も大きな影響を受けます。これに伴い、夕張鉄道線も利用客が減少し、経営の合理化が図られることになりました。その結果、栗山駅と夕張本町駅の間の旅客営業が廃止されることになり、この區間に含まれていた礦業所前駅も1971年11月15日をもって廃止されました。

駅の施設は非常に簡素なものでした。構造としては地上駅であり、線路に沿って単式のホームが1面のみ設置されていました。駅舎はなく、開業当初から廃止まで一貫して無人駅として運用されていました。

駅の周囲には、その名の由来ともなった北炭平和炭鉱がかつて存在していました。炭鉱が活況を呈していた頃は、多くの人々がこの駅を利用して通勤していたことでしょう。炭鉱閉山後の跡地は、現在では平和運動公園として整備されており、地域のスポーツ施設や憩いの場となっています。駅の廃止後も、最寄りの公共交通としては夕張鉄道の子会社である夕鉄バスの「平和運動公園」バス停留所が近隣に設けられています。

夕張鉄道線における隣接駅としては、栗山方面に向かっては平和駅が、夕張本町方面に向かっては夕製前駅がありました。これらの駅とともに、短期間ではありましたが、地域の交通体系の一翼を担っていました。礦業所前駅の歴史は、夕張の炭鉱と共に歩んだ鉄道の記憶を今に伝えるものです。

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