社外取締役

社外取締役とは

社外取締役（しゃがいとりしまりやく）とは、株式会社の取締役の中で、経営への外部からの視点を提供する役割を持つ専門家のことを指します。この役割は、企業の経営が透明で健全なものであるかをチェックする重要な機能として位置付けられています。

特に近年では、企業のコーポレートガバナンスの強化が求められており、社外取締役の存在が一層注目されています。たとえば、日立製作所や東芝などの企業では、社外取締役を取締役会議長に起用することが一般的となっています。社外取締役は、取締役会の議事進行権を有し、また指名委員会等設置会社においては、その委員長に社外取締役を充てることがあります。

社外取締役の定義と要件

「社外取締役」とは、会社法第2条第15号にて明確に定義されており、以下のような条件を満たす必要があります。

1. 当該株式会社やその子会社の業務執行取締役や執行役員でないこと。
2. 就任の前10年間において、社外ではなく業務執行取締役等であったことがないこと。
3. その会社の親会社等の取締役、執行役または支配人でないこと。
4. その会社の親会社等の子会社の業務執行者でないこと。
5. 重要な使用人、親会社の役員やその配偶者、二親等内の親族でないこと。

2014年の会社法改正により、これらの要件はさらに厳格化され、社外取締役が一定の責任を負う範囲も明示的に定められました。さらに、2015年に発表されたコーポレートガバナンス・コードによって、上場企業は社外取締役を2名以上任命することが事実上義務付けられています。

法律に関する規定

社外取締役に関する法律は多岐にわたります。たとえば、特別取締役による議決の定めをするためには、取締役の中に社外取締役が含まれていなければなりません（会社法第373条）。また、監査等委員会設置会社においては、取締役の過半数が社外取締役であることが求められています（同第331条）。

それに加え、指名委員会等設置会社においては、委員の過半数が社外取締役でなければならない（第400条）ため、社外取締役の役割はますます重視されています。

登記に関する事項

社外取締役としての登記には、一定の条件があります。特別取締役による議決の定めや委員会設置会社である場合に限り、社外取締役である旨の登記が認められます。また、社外取締役が企業の登記に関する法律が施行される前から在籍していた場合、その者は登記を抹消しなくとも任期中に社外取締役であり続けることが可能です。

社外取締役が抱える諸問題

社外取締役は、その立場上いくつかの問題にも直面します。例えば、利益相反の懸念が挙げられます。特に、大手法律事務所などでは、取引先企業との競合関係にある場合、外部からの社外取締役としての参画に慎重な姿勢が求められています。これは、利害関係が対立する可能性があるためです。

また、日本では財務や経済産業省、外務省などの有力なOBが社外取締役に就任する傾向が見られますが、これも一部からは「天下り」として批判されることが多いです。社外取締役に就任すると、仕事は比較的少なく実入りは多く、加えて責任が限定的であるため、多くのOBがこのポジションに関心を持つようです。

まとめ

社外取締役は、企業経営において極めて重要なポジションです。外部からの視点を加えることにより、企業の透明性や持続可能性を担保し、より良い経営判断へ導く役割を果たします。企業にとって社外取締役の存在は、ガバナンスの向上と社内外の信頼構築に欠かせません。

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