祇園寺 (水戸市)

祇園寺（ぎおんじ）

祇園寺は、茨城県水戸市に位置する曹洞宗の寺院です。寿昌山と号し、釈迦如来を本尊としています。春には桜、秋には紅葉の名所として、多くの人々に親しまれています。

歴史

祇園寺の起源は、佐竹義宣が創建した天徳寺に遡ります。その後、水戸藩2代藩主・徳川光圀が東皐心越を招き、元禄4年（1691年）に天徳寺を再興しました。光圀の命により伽藍は唐風に改築され、翌年には晋山開堂が行われ、全国から多くの僧侶が集まりました。心越の没後も、水戸藩と祇園寺の関係は深く、歴代藩主の庇護を受けました。

正徳2年（1712年）には、大中寺との関係を断ち、寿昌山祇園寺と改称し、曹洞宗寿昌派の本山として独立しました。この際、寺格は南禅寺と同等とされ、幕府から手厚い保護を受けました。なお、天徳寺の寺籍は河和田村に移されています。

安政5年（1858年）の火災で伽藍の多くを焼失しましたが、末寺の霊源寺から本堂を移築して再建されました。明治維新後、末寺の多くが黄檗宗に転じたため、明治7年（1874年）に寿昌派本山を廃止し、道元系の曹洞宗に合同しました。現在の本堂は、昭和47年（1972年）に新築されたものです。

境内

境内には、開山である心越の墓塔や、元禄7年（1694年）建立の穢跡金剛尊天堂があります。また、水戸藩の重臣であった市川氏や朝比奈氏の墓所、洋画家の中村彝、詩人の山村暮鳥の墓などもあります。

文化財

祇園寺は、貴重な文化財を所蔵しています。

* 銅造 阿弥陀如来及両脇侍立像：鎌倉時代末期の作と推定される善行寺式の三尊像で、水戸市の文化財に指定されています。

この他にも、江戸幕府による独立本山許状、心越が描いた釈尊像や十八羅漢像、光圀の書、小栗宗丹が描いた水月観音画、祇園寺文書などの古文書類が所蔵されています。

祇園寺は、歴史と文化が息づく場所であり、訪れる人々に安らぎと癒しを与えてくれるでしょう。

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